"文春砲"という言葉はすっかり世に定着した。
あと"新潮砲"だって"フライデー砲"だって、結構、強烈な時もある。
芸能人はともかく、政治家はこの砲弾に直撃されたら命(政治生命)さえも失う(笑)
商業ジャーナリズムは売れてなんぼ
最近の文春砲など週刊誌メディア、それを報じるテレビのワイドショー批判の急先鋒は「有名人の不倫より、もっと大事なことがあるだろう」のご意見。
ごもっとも。
この批判は時の政権に対して右、左の両勢力からあるから、面白い。
「マスコミは売れれさえすればいいのか」とか、
「時の政権が危機の時、週刊誌やテレビは必ずくだらないスキャンダルで、不正から国民の目をそらす」とか。
でも商業ジャーナリズムは売れてなんぼ。売れなきゃ広告もつかない。
衝撃的な記事=部数増=儲かる…なのだ。
そして経済的安定こそが、何ものにも負けない編集権を確立させる。
エネルギーいる不倫取材
一般的にはなかなか理解できないが、有名人の不倫取材は相当な時間とエネルギーが必要だ。
向こうだってやましいことだらけ。バレないように細心の注意を払う。
端緒は噂。
そして絶対、気づかれないように尾行し張り込む。
同じホテルの一室やマンション…2人が入る写真が無ければ記事にはできない。
噂から記事にできるまで数ヶ月を要する時もあるという。
書かれたカップルの最近のトレンドは「確かに誤解を招く行為は猛省している。でも深い関係にはなってない」。宿泊していても(笑)
一例だが文春砲をお見舞いされてからの衆院議員山尾しおり氏の対応もこれで、本当に不快で見苦しい。
不倫取材でつけた取材力が世を正すチカラになる?
それではなぜ、不倫記事が必要か。このくだらない記事を完成させるための記者たちのたゆまぬ努力。
結果、彼らの取材力を飛躍的に向上させるからだ。
そしてこのチカラが国民が看過できない政界スキャンダルを暴いたり、極めて社会性の高い記事に繋がってくると、信じたい。
かつて吹き荒れた田中角栄元首相の金権スキャンダル。これを暴いたのは大新聞の政治記者ではなく、普段、芸能人のゴシップ記事を追っていた女性週刊誌の記者たちだった。
最近でも例えば原発報道。女性週刊誌の記者たちの活躍や問題提起が素晴らしい。
私はくだらない不倫取材が、雑誌記者たちの大きなチカラと、ジャーナリストとしての矜持に繋がっていると確信している。
雑誌ジャーナリズムに期待する
みんな矜持を持って仕事をしていると信じたい。
そしてこんな目で、週刊誌を見てあげて欲しいなと、思う。
たまには不倫以外で彼らのペンの力が炸裂し、政治と世の中を良くしてもらいたいと、願わずにいられない。
森本 尚樹(もりもとなおき)早稲田大学卒。新聞記者16年の後、県議会議員を約20年務める。現在は福祉関連会社の参与、在京シンクタンクの研究顧問