新聞の購読者の酷い減少は、もう何をしても止められない⁈
斜陽産業は分かっているが、ここ10年来、全国紙も地方紙も発行部数は減少し続けている。
ネット配信も急速に進んでいるが、なかなか新聞社が思うような展開にはなっていないのではないか。

とりわけ地方紙などはさて、ネット読者はいるのだろうかとさえ思える。
先日、地元紙の後輩らと話しをしていて、県内普及率がここまで落ち込んでいるのかと、本当に驚いた。
私が辞めた時の普及率は80%台後半で、全国でダントツのトップだったから、今の数字には衝撃を受けるとともに、新聞産業の衰退ぶりを改めて肌で感じた。
しかしそれでも依然、普及率は全国トップだから、他県の地方紙はそれ以上に苦しい状況なんだろう。
新聞産業衰退の最大の要因は、やはり急激な少子高齢化
やはり新聞産業衰退の1番の要因は急激な少子高齢化だ。若い人、とりわけ大学生や独身者は新聞を取らないと、昔から言われていたが、最近は取らないというより全く活字を読まない。
さらにその若い人がどんどん減っているんだから、もはや手の打ちようはない。
新聞販売店の人とも話したことがあるが、新年度を迎えても、まず取ってくれる学生は皆無に近いと嘆いていた。
しかしこれは当たり前だ。学生や独身者のスマホ普及率はほぼ100%。ニュースに興味があればいくらでも取得できる。
私なども朝刊を見たらすでに知ってるニュースばかりだ。前夜〜夜中にかけ大半をネットで、それも新聞、テレビなどのニュースを読んでいるからだ。
そして新聞を取る取らない以前の問題として、若者の政治や社会問題への無関心さも、少子化と同じくらい新聞には打撃だ。
新聞関係者は、年金生活者にとって新聞はもはや贅沢品の認識を
あと、お年寄りは新聞を時間をかけてじっくり読むと言われてきた。確かに今もそうだ。
そのお年寄りがどんどん増えているから逆に新聞経営は安定すると思ったら大間違いだった。
やはり年金生活のなかで朝夕刊セットなら月4000円ほどの新聞代はかなりこたえる。月5〜6万円の年金でどうやって新聞代が払えるんだと思う。
よって贅沢品としての新聞は家計からカットされる。
日本の新聞はネット配信でも生き残れない
以前から新聞産業の将来的衰退を見据え、ネット配信への転換が図られてきた。
日本経済新聞などはその先駆けで、まだ一番、方向性がはっきりしているのでは。紙の新聞を取り、あと僅かプラス1000円以内の契約で、出先や遠方の子どもたちがタブレットで新聞を共有できる。
ある意味安い買い物ではあるが、これも新聞をとっている人のいかほどが契約しているかは、ひじょうに厳しい現状のようだ。
ネット配信で世界中がサービスエリアとなった米高級紙
新聞記事のネット配信で読者が紙の何十倍にも増えているのが、アメリカのワシントンポストやニューヨークタイムズだ。
例えばワシントンポストは一流高級紙としてせいぜい、50〜60万部の発行部数だったのでは。
ところがネット配信を始めたら全世界から購読注文が殺到。すぐに数百万人との契約となった。

つまり今まで読みたくても、アメリカにいなければその日にワシントンポストを読むのは不可能だった。それがアメリカにいるのと同じスピードで購読可能となったのだ。
全世界がサービスエリアだ。爆発的な購読者増となったのは、当然だった。
これは日本には全く当てはめることはできないだろう。英字変換したサービスを行っても、あまりに力不足であり、知名度もない。
また地方紙は押して知るべし。わずかな地元読者向けのネット配信など、全く将来性はゼロと言える。
新聞産業の将来性ははっきり言って極めてゼロに近い。活字離れ、購読料に加え、広告媒体としても全く成り立たないのは、新聞社が一番、わかっていることだ。
シルバー世代の購読料を、なぜ大幅に減額しないのか
あとひとつだけ寿命を先延ばしできるとしたら、65才以上の購読料を思い切って値下げし、シルバー料金を設定することだ。
半端なやり方でなく、一挙に半額とか。これでシルバー世代の部数減は間違いなく止まる。
料金設定はいつも一緒の新聞業界・護送船団方式。これくらい誰も提案しないのが不思議だ。
そして長年、給与面で恵まれ過ぎた新聞業界だ。給与が激減しても新聞で働きたいというヤツばかりになれば、もう少しやっていける。
もりもと なおき