激しい闘いは似ているが、香港市民の闘いは命がけだ
香港市民のデモとそれを弾圧する香港警察のやり方を見ると、70年安保前夜の学生運動を思い出す。

当時の機動隊は学生の無届けデモやバリケード封鎖、あるいは街頭行動には全力で対峙した。
禁じられていた催涙ガス弾の水平撃ちなどもあったし、衝突の中で学生にも死者や多数の重傷者が出た。
もちろん、機動隊側も学生からの投石や火炎ビンの雨あられで、相当なダメージを受けた。
学生らの襲撃で殉職した若い機動隊員や重傷者も多数いたから双方、凄まじい闘いだった。
国電(JR)の駅や新宿、渋谷の街頭行動はまさに市街戦のように見えた。
映画にもなった東大安田講堂の攻防戦などを見れば、当時の学生運動の凄まじさが分かる。人によれば革命前夜のように見えたかもしれない。

民主の女神も一方的に身柄を拘束された
当時の日本学生運動にはゲバルトローザと名付けられた運動の象徴的な美人女学生もいた。
香港雨傘運動のリーダーのひとり、香港の"民主の女神"と呼ばれる周 庭(アグネス・チョウ)さんみたいなものだったのかもしれない。
アグネスさんは"無許可のデモを先導した"として香港警察に突然、逮捕され、一時、身柄を拘束された。恐らく起訴されるのではないか。

背後に中国の武力が。第2の天安門事件にできない国際世論を
しかし一見、似てるように見える日本の学生運動と香港の市民運動だが、決定的な違いがある。
日本の学生運動は日本政府との闘いであったが、香港は背後に市民の人権など何とも思わない巨大な中国政府がいることを忘れてはならない。
第2の天安門事件を心配する国際世論もある。まさに市民にはその危機が迫っているのではないか。
背後に中国という恐ろしい巨大な敵と闘う香港市民には強くエールを送りたいし、今大切なのは第2の天安門事件は許さないという、国際世論の広がりだろう。
もりもと なおき