さすがの名演技だった渡辺謙と豊川悦司
渡辺謙と豊川悦司の『逃亡者』は面白かった。羽鳥のモーニングショーでも盛んに前振りをしていたから、開局60周年番組だけにテレビ朝日が力を入れたドラマだったんだろう。

さすが一流俳優2人の共演だ。ストーリーは分かっていても最後はどうなるとのドキドキ感はあったから、さすがだと思った。
役柄とはいえ50代後半で、逃亡者・死刑囚の外科医加倉井一樹(渡辺謙)が野山を駆け回る撮影はキツかったと思う。泥だらけ、傷だらけはホンマもんだったと思う。
警視庁特別広域捜査班の班長・保坂正巳(豊川悦司)の刑事と思えない殺し屋みたいなニヒルさは、ピッタリのはまり役だった。出世しか考えない上司に拳銃を突きつけたり、締め上げるところは最高だった。

思い出すアメリカ版『逃亡者』のリチャード・キンブル
さて『逃亡者』はご存知アメリカのテレビドラマだ。1963〜1967年の放映で、全米で視聴率50%を誇ったお化けドラマだった。
ほぼ同時期、日本でも放映されたから、われらが世代は観てないヤツは恐らく1人もいないと思う。
『妻殺しの濡れ衣を着せられ死刑を宣告された医師リチャード・キンブルが…』との毎回のナレーションを聞くたびに興奮したものだ。
以来、リチャード・キンブル、ジェラード警部の名前はずっと記憶に残っている。
いつもジェラード警部に追い詰められるリチャード・キンブルに声援を送ったし、冤罪が晴れることを心から祈った。

ハッピーエンドだが、ボロボロになった主人公
日本版でももちろん加倉井・渡辺謙の冤罪は最後は真犯人たちが浮かび証明されたが、なかなか直ぐに無罪放免といかないのが、司法制度の難しさだ。
恐らく加倉井・渡辺謙はあのままもう一度、拘置所に収監され、今度は死刑判決を覆すための再審請求を起こさなければならない。
その中で真犯人の証拠調べなどを通じてやっと再審決定〜再審裁判〜無罪となる。
まあ、1年近くかかるかもしれない。
あと保坂・豊悦が手錠をかける時、『窃盗もあるからな』と言ったように、渡辺謙は逃亡途中、クルマやバイクを盗んでいる。
これらも書類送検されるが、恐らく冤罪を証明する過程だから起訴猶予か。
2人の俳優が印象に残る素晴らしいサスペンスドラマだった。
もりもと なおき