日経ならではの転身なんだろうが、違和感はある
こういったケースは珍しいんだろうか?
トヨタ自動車が、豊田章男社長の業務秘書的な立場で、社長肝煎りのオウンドメディア『トヨタイムズ』の編集業務などに着く目的で日本経済新聞のトヨタ担当記者をヘッドハンティングしたという。

両者にとってはまあ、良縁なんだろうが、エリートでないブン屋魂を持った記者ならば、こういう関係は、腹の中では軽蔑する。
そういう私もこのニュースを知ったときは、あまり良い感じは持たなかった。
今の新聞記者って、ここまできたのかとの感想だ。
まあ、一般紙じゃなく日経だからごく自然な移籍なのかもしれないが。
しかし今後、日経のトヨタ関連記事には何らかの影響を及ぼすことが懸念される。
こんな縁組があっても日経にはさらなる公平な経済記事を期待する
件の日経記者は東大卒、入社23年目のベテラン。主に産業部(現企業報道部)でベンチャー企業やバイオ企業、商社を担当していた。
2011年から14年まで名古屋本社編集部でトヨタ担当キャップ。
レースドライバーライセンスを持つ豊田氏が社長になって初めて出場した「ニュルンブリンク24時間耐久レース」に同行取材するなど、豊田社長の覚えめでたい記者として知られていたという。
日経記者が担当企業へ。ありがちな感じはするが、ベテランでかつ、トヨタトップに近いベテランが、トヨタ中枢に近い重要ポストに送り込まれる点では異例中の異例と言える。
トヨタは現在、自社メディア、トヨタイムズの発信力を強化している。
いまのところはまだ旧社内報の延長のような存在だが、将来的には外部に向かってニュースを発信する力を持つメディアに育てる狙いがある。
日経記者にはここで手腕を発揮することが期待されている。
例え幹部社員が移籍しても日経にはトヨタはもちろん、自動車産業全体に、公平な記事をお願いしたい。
もりもと なおき