ビジネス雑誌の早慶特集花盛りだが…
新年度がスタートしたこの時期になると毎年のように複数のビジネス雑誌や週刊誌が『早慶特集』を組む。
早稲田大学と慶應義塾大学をあらゆる方向、角度から分析し、両校の魅力を紹介したり、どちらが良い大学か競わせたりする訳だ。
で、共通するのはどの雑誌も決して両大学を貶さない。どの旧帝と比べても遥かに劣るなどということは口が裂けても?絶対に書かない。
あくまで読んだ現役生はもちろん、OBらが気持ちよくなる編集だから、まあ、ジャーナリズムではない。
NHK解説委員の岩田明子氏が、これでもかこれでもかと、安倍さんを持ち上げるような感じに似ている。

売らんがための企画であるのを忘れててはダメ
なぜか?取材して書いているのが恐らくOB(特に早稲田出身者)ということもある。
そして何より母校が好きでたまらない早慶の学生、OBに買わさなければならないからだ。
現役の学生は早稲田が約5万人、慶應が3.3万人だからこれだけで8万人余。そしてこの背後にはン十万人のOB、OGがいる。
母校にこだわりの強い(母校愛が強い)関係者の多くは買うから、確実に数万部が見込める。出版不況の中、これはありがたい数字だ。

世界ランキング日本版では共にベスト10にも入れず
結局、こうした早慶もてはやしの本で関係者はみんな本質を見失う。英国発の大学世界ランキングを見ても散々たる順位なのだ。
英国の『世界大学ランキング2020日本版』では早稲田13位、慶応14位と共にベスト10にも入らなかった。もちろん旧7帝大は揃い踏みだ。筑波大、国際教養大もベスト10にいた。

東大や一橋は早慶がコンプレックス抱く対象ではない
昔から思ったのは早稲田政経や慶応経済の連中は、東大や一橋にコンプがあることをほのめかしたりした。おいおいと言いたい。格が違うよ。確かに東大合格して早慶落ちたヤツはいっぱいいるだろう。
しかし東大合格したのに早慶に来たヤツはゼロだ(慶応医学部除く)
一橋や京大だってほぼ同じ傾向だ。名古屋大学、大阪大学、東北大学だってこちらが受かれば早慶合格しても早慶にはまずいかない。筑波大と早慶でも筑波を選択する受験生が多いんじゃないだろうか。
知る限りでは広島大学、金沢大学クラスと天秤にはかけられる。まあ、入試的にはそんなもの。
しかしあらゆる企業の評価は極めて高い早慶
しかしひとつ言えるのは、東京生活、大学生活で経験する刺激や様々な経験のおかげで、東大や地方の旧帝大の連中より、遥かに人付き合いというか人生の渡り方がこなれている。垢抜けている。
これは学力に勝る早慶の実力だ。就活には圧倒的に強い。だからもてはやされのだろう。現実に企業の評価は高い。入社後の仕事もできると言われている。
厳しいことを言ったが、やはり早慶は日本の社会を引っ張っていく存在には違いない。大学も学生も地に足をつけ、世渡り上手だけじゃなく、アカデミックな部分で飛躍してくれたたらと、願わずにいられない。
もりもとなおき