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早稲田のニセ学生、イズミ君のこと

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早稲田のような超マンモス大学で、300〜400人のマスプロ授業が圧倒的に多いと、昔はキャンパスにニセ学生はたくさんいた。
老若男女がタダで授業を受けても、恐らく問題になったことは無い。それほど当時の早稲田は大らかで、来る物拒まず、逆に歓迎する空気があった。

ニセ学生もどうやらふた通りいたようだ。例えば司法試験を目指す他大学の学生が法学部の有名教授の授業に潜り込み、堂々と最前列で講義を聴く。

あと、キャンパスライフを楽しみたい、友人をつくりたいというニセ学生も結構、いたようだ。

実は僕らの周りにもいた。
鈴木のマー坊は優秀な法学部で、彼のグループは7〜8人いた。私もマー坊との関係で彼らと一緒によく遊んでいた。
ある日、そのグループに『イズミ君』という色黒で小柄な"新顔"がいた。

マー坊らに聞くと"本当は政経学部の学生"だけど、いつの間にかマー坊たちと行動を共にしていたとか。福島県出身で母校は有名進学校と、自称した。

私もキャンパスでしょっちゅうイズミに会ったが、"看板学部政経"を鼻にかけず、当時の底辺学部社学(今は政経と並ぶ高偏差値 笑)の私にも敬意を払う、気さくないいヤツのイメージしかなかった。

そして数ヶ月して少し変だと皆んなが感じることが多々あった。
ひとつはゼミの副読本なんだよと言ってノーベル経済学賞のアメリカの経済学者、サミュエルソンの緑色の分厚い原書をいつも小脇に抱えていたのだ。

あいつ毎日、ゼミあるのか?中身はピカピカで読んでいる気配はないよな。簡易な単語にカタカナでふり仮名がついてたぜ…などなど。

皆んなで問いただしたところ、他大学の学生でニセ学であることが判明した。

『ウソはちょっとなぁ。でもせっかく縁あって友だちになったんだ。別にどこの大学の学生でもいいじゃねーか』が、私も含め皆んなの共通認識だった。
でもその日を境にイズミは僕らの前から、早稲田のキャンパスからも姿を消したのだ。

そして季節は流れそれから数ヶ月…
僕らがイズミを忘れたころ、マー坊たちがキャンパスでイズミを見つけた。

今度は別の学部の1年生グループに混ざり、違う分厚い本を抱えてワイワイ言いながら闊歩していた。
また会いたいなあ、イズミ。

(雑多な学生や不思議な連中が溢れていた早稲田キャンパスや周辺の街)

もりもとなおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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