シノギなくどんどん抜ける修羅の世界
事件記者時代に知っていた暴力団員にばったり会ったら、ずいぶん景気の悪そうな顔をしていた。
ある三次団体の大幹部だったがとっくに足を洗っていた。だから元暴力団組員。
"とてもじゃないけど極道の世界ではメシは食えません。特に暴対法施行以降、見る見る間にシノギ(ヤクザの仕事)は減っていきました"という。
今は正業で働いているとのことだったが、やはり元暴力団員にとっては、住み難い世の中らしい。小指とか欠損していたら、働くのも難しいんだろなと思う。
『金融機関で通帳も作れないから、このご時世、不便でしょうがないです』とボヤいていた。
生活苦からアルバイトで逮捕とは
ところでヤクザの世界のシノギがないことを証明するような事件があった。
なんとなくおかしい反面、人生のもの悲しさが伝わっくる。
事件というには寒いが…
愛知県警は1月、六代目山口組の暴力団組員の男(60)が組員であることを隠し、郵便局でアルバイトし、報酬を得たとして詐欺容疑で逮捕した。
組員は郵便局でアルバイトする際に、『反社会的勢力ではない』と誓約書にサイン。2017年11月29日、1日だけアルバイトをし、7850円の報酬を得たという。その後、自ら暴力団の組員だと申し出て退職したという。
年齢60才。若かれしころはブイブイ鳴らしたのかもしれない。切なくも生活苦からのアルバイトだったようだ。
暴力団の数は1963年の18万人をピークに、昨年は最も少ない18100人と、減り続けている。
ヤクザ映画全盛期こそ、暴力団にとっては華やかな時代だったんだろう
やはり1992年施行の暴力団対策法の効果は絶大。ヤクザを利用する方も検挙対象になったのは大きい。
数が少なくなりマフィア化していくのではとの見方もある。
人数は減っても組織はやはり反社会勢力だ。
もりもと なおき