一人当たりのコストが格段に安い非正規雇用
分かり切ったことではあるが、企業が従業員を非正規雇用にしたがるのは、短期就労契約ならいつでもクビにできる。正社員のような各種手当てがいらない。賞与も出さない、あるい額。休めば日当がいらないーなど。
要するに正規職員より遥かに一人当たりのコストが低くて済むからだ。
正規と非正規が仕事の内容、時間、責任において大きく差があればそれも仕方がないが、全く同じ、ほぼ同じ仕事をこなす場合、こんな理不尽なことはない。
その会社、組織に入る時のちょっとしたタイミングや、試験のわずかの差がその後、延々と待遇面で差が出るのは個々の雇用契約があったとしても、やはりおかしな話しだ。

これだけ理不尽な目に遭ってきた郵政非正規雇用の現実
この度の最高裁の判断は極めてまっとうなものだった。日本郵便(東京都千代田区)の契約社員らが正社員との待遇格差について訴えた三つの裁判の上告審判決で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は15日、扶養手当や有給の夏休み・冬休みなど審理対象になった5項目の支給をすべて認めた。
継続的な勤務が見込まれる契約社員の労働条件が正社員と違うのは「不合理」などと判断し、同社側の反論を退けた。いずれも裁判官5人の全員一致の結論だったからスッキリする。
格差が不合理とされたのは、扶養手当▽年末年始勤務手当▽年始期間の祝日給▽夏季・冬季休暇▽有給の病気休暇――の5項目。

非正規職員が負担を被り支えてきたわが国の郵政事業
長い人は20年を超えて非正規で働いてきたから、ずいぶん辛抱を強いられてきたのだろう。驚いたのは日本郵便の社員は約40万人もいるが、なんとこのうち18万人もの人が非正規雇用だったことだ。
もちろんあえてパートを選択している職員もいるだろうが、多くは非正規で雇用されそのままの待遇で仕事を続けている。
会社側はこの判決を重く受け止め、早急に改善をすべき。
しかし民営化以前、郵政には巨大で強い労働組合があったのに、こうした問題はどうしていたんだろう。
もちろん今ほど非正規は多くなく、膨れ上がってきたのはやはり民営化以降だ。
最高裁判決を全て解決するためには、さらなる内部の改革も必要だ。
もりもとなおき