今の東京はずいぶんと人が少ないと、在京の友人たちが口を揃えて言っている。一昨日、札幌から上京していた友人のN君もあまりに閑散とした羽田や銀座にびっくりしたようだ。

人が激減したという東京の珍しい風景
人が溢れている東京しか知らない。クリスマスに行った時も何故こんなに多いんだろうと思った。
そしてもちろん、東京はどこを歩いてもインバウンド需要。特に中国からの観光客が多く、大きな声で聞こえてくるのは日本語より圧倒的に中国語だった。
今、春節も終わったのももちろんだが、新型コロナウイルスの影響で、中国は団体渡航を禁止したため、中国からの観光客は激減している。

いかに中国人観光客が溢れていたか
逆に考えれば、いかに東京に中国からの観光客が溢れていたかということだ。
それと日本人も仕事や学校、必要な買い物以外は外出を控えている人は多くなってきた。これも在京の友人の話しだが、高齢者の姿も激減しているという。
こんな訳だから東京はもちろん、近年、インバウンド需要頼みだった地方を中心に、昨秋の消費税率アップによる冷え込みに加え日本経済のさらなる失速が懸念されている。
新型肺炎の影響続けばGDBは2兆4750億の減
野村総研によると新型肺炎の影響で、2020年の訪日観光客数はSARS(2002年11月〜)の際と同じ割合で減少するとした場合、相当、日本経済に打撃を与えると、試算された。
まず中国からの訪日観光客数の減少は、2020年の日本のGDPを2650億円押し下げる。そして訪日観光客数全体では7760億円押し下げると試算された。
さらにこの影響が1年続いたと仮定する。なんと日本のGDP全体の0.45%、2兆4750億円減少するというからまさに"コロナウイルス大不況"と言える。
SARSの時に比べ中国からの観光客は21倍にも
ちなみにSARS騒ぎのあった2002年と2019年を比べると、訪日観光客数全体では6.1倍に。さらに中国からの訪日観光客に限るとなんと21.2倍にも増加している。
SARSから半年後の2003年5月だけの数字を見ると、中国からの訪日観光客数は前年同月比69.9%の減少、訪日観光客数全体では34.2%減と、かなり深刻な影響が生じた。
これだけインバウンド需要が拡大し、とりわけ中国からの観光客の増加から判断し、SARSの時とは比較にならない日本経済の落ち込みは確実だろう。
新型肺炎の収束までは経済への打撃は続く
訪日中国人は団体旅行が全体の3分の1程度を占めるが、1月27日より中国政府は中国人の海外団体旅行を禁じた。新型肺炎の拡大はこれからとみられるだけに、この措置はいつまで続くかも分からない。
中国人観光客が日本経済にもたらす影響を、改めて痛感するのはこれからだ。
もりもと なおき