政府があらゆる記録を残すのは当然と示した著書があった
モリカケ問題など安倍政権下で公文書の紛失、改ざんが相次いだ時、官房長官会見でひとりの新聞記者が菅官房長官(当時)こんな質問をした。
東日本大震災に対応した民主党政権下で会議での議事録が作成されていないことが判明した問題について、ある本には
『政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為であり、歴史的な危機に対処していることへの民主党政権の意識の薄さ、国家を運営しているという責任感のなさが如実に現れています』
と記述された書籍がありますが、この著者はご存知か?と。
これに対する菅氏の答弁は『知らない』だった。

その自署を『知らない』と答え赤恥かいた官房長官会見
実はこの本は菅氏の著作。当時の民主党政権への批判を込めたこの本の菅氏の大変、重要な部分だった。
自身の著作なのに知らなかったのは、恐らくゴーストライターが書いたのだろう。
この会見でご本人は赤っ恥をかかされたと、ずっと思っていたのかもしれない。
"著者・ゴーストライターは"政治家本にはよくある話しで、当時も本人は赤恥をかいたはずだ。そしてまたまたこの著作に関連し、極めてお粗末で寒い話しが持ち上がっている。
総理になった記念出版だろうか。この本が今度は文春新書で改訂版が再発行されたが、官房長官会見で恥をかいた、あの大切な部分がバッサリと削除されているのだ。

民主政権批判が自身へ巨大なブーメランとして返ってきた
まさに自署まで改ざんしてしまったと、ネットでは今、盛んに批判を浴びており、当時の『知らない』以上に顰蹙を買っている。
なぜ菅首相は当時、したためたこの『あらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料…』という正論の部分を削除したのだろうと。
民主党政権を厳しく批判した部分が、安倍政権下の官房長官であるご自身に、大きなブーメランとなって返ってきた訳だ。
改訂版を出版した文春新書は、『特定の文言の削除を意図したものではなく、全体のバランスを考え、編集部の判断で割愛した』と、バカバカしい説明をしているが、いやしくも総理の著作に、勝手に手を入れる編集者がいる訳ないと誰もが思っている。
民主党政権批判の2章をまるごとカットしていることをもってそう言っているのだろうが、到底の説得力のある説明ではない。
自署の改ざんとはまったくもって、いただけない話しではある。
もりもとなおき