熊本地震の際、有効性証明
これだけ災害の多い国で、未だに乳児用液体ミルクが販売されていなかったのは、国の厚生行政の大きな怠慢だろう。阪神淡路大震災から20年も経過しているのに未だ市販はゼロ。やっとこの春から売り出されることになったというから驚きだ。
乳児用液体ミルクは2016年の熊本地震の際、被災地に外国製品が届けられ、喜ばれた。
そしてこれを機に議論が進み、製造や保存方法を定めた厚生労働省令が昨年8月に施行されたことで、メーカーが発売に向け製造準備を急いでいる。
さっそく江崎グリコが一番手としてこの春から発売の予定。
赤ちゃんのために常備を
粉ミルクを赤ちゃんに飲ますためには哺乳瓶と熱湯がいる(水やぬるま湯では溶けない)。それを人肌に冷ましてやっと飲ませることができる。
だから綺麗な水や湯を沸かすことができない被災直後は、赤ちゃんにミルクを与えることができない。
赤ちゃんにとって生死にかかわる事態となる。
液体ミルクは成分は粉ミルクと同じ。紙パックなどに密閉されておりいつでも持ち出せるから、災害時は大変、有効だ。半年から1年は保存が可能とか。
ネックは粉に比べてコスト高になること。しかし常飲させる訳ではない。赤ちゃんのいる家庭では避難袋の中に常備すべきだと思う。
また行政も避難所にはある程度、保存しておくことも必要。赤ちゃんの命に比べたらタダみたいなものだ。
北海道地震の際、送られるも使用せず
熊本地震の時と同じく、東京都は北海道地震の際、フィンランド製の乳児用液体ミルク1050個を北海道庁に提供した。北海道庁は被災した5町に約200本ずつを配布した。
しかし、道庁の災害対策本部などの職員が関係町や保健所に対し「液体ミルクは国内で使用例がない」「取り扱いが難しい」として使用を控えるように求めた。このためほぼ全量が使われなかったということが、後で発覚した。
メーカーがPRに努めるようになれば、あっという間に普及するような気がする。
液体ミルクの登場は授乳のやり方を変えそうな予感がする。