闘い方の方針に食い違い?
最強の弁護士と思っていただけに、会社法違反(特別背任)で起訴された前日産自動車会長・カルロスゴーン被告の主任弁護士だった元東京地検特捜部長、大鶴基成氏ら3人が弁護人を辞任したのには驚いた。
昨年11月のゴーン被告逮捕以来、同じ事務所の2人と共に弁護人を務めていた。
ここにきての突然の辞任は、やはりゴーン被告との間で闘い方の方針に食い違いが出てきたのは間違いない。
今度は無罪請負人、弘中弁護士
ゴーン被告が次に弁護人を依頼したのは"無罪請負人"と言われている弘中惇一郎弁護士だ。
大鶴弁護士(左)と弘中弁護士
恐らく追起訴が重なり、いつまでたっても拘留が解けないこと。その結果、ルノー会長解任など、母国フランスでもゴーン被告に対する風向きが、悪い方向に変化してきたことに業を煮やしたのではないだろうか。
そしてゴーン被告の大鶴弁護士らへの不信感はもちろんだが、当初『ゴーン氏の無罪を信じている』と再三語っていた大鶴弁護士ら弁護人の思いにも大きな変化があったのではないか。
弘中弁護士だが、確かに重大な裁判で多くの無罪を勝ち取っている。
例えば政治資金規正法違反の罪で強制起訴された自由党の小沢一郎代表の弁護人を務め、無罪判決を。
またロス疑惑の故三浦和義氏、薬害エイズ事件の故安部英氏、郵便不正事件で村木厚子・元厚生労働省局長の弁護人を務め、いずれも無罪判決を勝ち取っている。
特捜部はやり易い?やり難い?
今回の弁護人の変更は東京地検特捜部にとっては、どうだろう。
かつての上司であり先輩が弁護人から外れたことで、事件捜査は極めてやり易くなったのは間違いない。
しかし反面、手の内が分からない弘中弁護士だ。東京地検への容赦ない闘いを挑んでくるだろう。
ゴーン被告にとって鬼が出るか蛇が出るか。また目が離せなくなった。
もりもと なおき