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産業としての新聞にもう未来はないが、良い紙面で頑張るしかない

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新聞業界の不況ぶりが酷い。不況というよりもはや構造的なもので、経営的には手のほどこしようがないところまできている。
とりわけ地方紙の凋落ぶりは酷く、古巣の後輩らと話しをすると想像以上だ。

完全に斜陽産業となった新聞業界

先日も朝、朝刊を手にし、その薄さ(ページの少なさ)にびっくりしたものだ。

新聞は広告さえ潤沢にあればページはいくらでも増やすことができる。

記事は共同通信からたくさん買っているし、地ダネをふやしたければ、記者が頑張ったらいい。しかし肝心の広告がないと、紙面が構成できないのだ。
もちろん、広告無しのページはできるが、それでは経費を考えるると、発行するほどに赤字になってしまう。

普及率日本一の徳島新聞でもかなりしんどそうだ

その昔、徳島新聞の広告掲載料は同規模の地方新聞では全国一高かった。
これは一時は90%まで伸びた驚異的な県内普及率のおかげで、広告効果が抜群に良かったためだ。

最後の全面広告などひじょうに価格は高かったが、企業の順番待ちができるほど利用される時代も続き、莫大な利益をもたらした。

私が在職中は給与やボーナスが全国紙も含め、全国でほぼトップという幸せな時代が続いたし、当然、仕事にも張り合いがあった。

その徳島新聞も県内普及率は下がる一方で、広告も全盛期に比べ激減しているらしい。

ネットに完全に食われた新聞広告

新聞の凋落は発行部数の減少も大きいが、それ以上に広告掲載依頼が日増しに減少していることだ。

広告主であるあらゆる業界の不況もある。そして輪をかけたのがネット時代の到来だ。新聞広告の必要性が、ひと昔前に比べて大きく落ちているのは間違いない。

例えば新聞紙面から目に飛び込んできたものを、以前は店に足を運び購入した。これは完全に良い広告効果。
しかし今は欲しいものがあればまずGoogleなどで検索する。

どこに何が売っているか一目瞭然だし、さらにAmazonなど通販も利用する。この結果、新聞広告の利用が激減するのは当然だ。

若者とお年寄りの新聞離れは深刻だ

発行部数の減少はもちろん人々の新聞離れだ。大学生はほとんど新聞を取らないし、特に他県から来た学生が地元紙をとるのは皆無に等しい。

そしてお年寄り。年金生活にとっては新聞購読料が大きく家計に響き、ここでも減少していく。

思うほど伸びないネット購読だが、将来も期待薄

全国紙も含めネットでの有料購読を盛んにPRはしている。
しかしとてもじゃないが地方紙とネット契約したいほど、記事に魅力を感じないのが本当のところだ。

ネット購読は朝日、毎日、読売の三紙とて順調ではない。スタートが早く専門性のある日本経済新聞が一歩、先んじているところか。

世界ではアメリカのニューヨークタイムズ、ワシントンポストは別格。元々この2紙はインテリア層向けの高級紙と言われ、発行部数は100万部もいかないほど少なかった。

ところがネット配信を始めたら、例えばワシントンポストの読者はネットだけで数百万人にも。なんと地球規模の新聞として生まれ変わった。

しかし地方紙が全国に読者を広げることが無理なように、日本の新聞が世界に読者を広げることはあり得ない。

記者の質低下が一番深刻なのは間違い無い

ネット広告による新聞広告の激減と読者の新聞離れが業界衰退の原因としたが、実は最も大きな原因は紙面のクオリティの著しい低下。即ち、記者の質の低下かもしれない。

全国紙の場合、安倍政権となったこの7〜8年でとりわけ顕著に。上層部の政権へのいわゆる忖度が、現場にまで及び、読者に真実が伝わらないのは否めない。

要するにジャーナリストとして闘わない、闘えない記者が主流となってしまった。

この傾向は地方紙も同じく。一貫性やポリシーを感じない記事に呆れることも多く、読者離れを心配する。

しかし新聞の無い社会は闇だ

ニュースはネットで見るから新聞は無くてもいいという人がいるが、よく考えてみて欲しい。ネットニュースの基は大半が新聞記事なのだ。

そして現場の新聞記者がひと頑張りすれば、政治や社会の暗部にかなりメスを入れることができるのは、記者たちはみんな分かっている。

私は記者らの質の低下、いわゆる腰抜け記者がたくさん育ったのは、業界が恵まれ過ぎたぬるま湯の時代が長かったからだと思う。

広告などなくても記事だけで新聞を売る。給料は安くても構わない。新聞産業を存続させるのは、そのくらいの気概を持つことしかないだろう。

給料など安くても新聞の仕事がしたい。業界としてダメになるほど、質の良い記者は逆に増えるかもしれない。ここに私は期待している。

もりもと  なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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