産経が"全国紙"でなくなる日
朝日、毎日、読売の大手3紙に比べ、遥かに少ない部数ながら、何とか全国紙の一角を担ってきた産経新聞が、2020年10月をめどに、販売網を首都圏と関西圏などに限定する方針を固めたという。
つまり全国紙でなくなる決断をしたということだ。
販売部数の減少や、それに伴う広告収入の低下など、同社の財務状況はかなり厳しいと聞く。新聞発行を存続させるためには大胆なコストカットは致し方なく、ついに地方からの撤退を余儀なくされたようだ。
発行部数はすでに100万部ほどに落ちているというから、日経新聞や東京・中日新聞グループの遥か後塵を拝している。
実際はかなり昔から首都圏と関西圏を除く地方の販売部数は少なく、取材網や販売網も手薄だった。
私が新人記者の時、すでに徳島支局は記者ひとりだけだった。今後は地方のニュースは共同通信からの配信でカバーするとみられている。
保守色濃い紙面が特徴。好き嫌い激しく
産経の編集方針は朝日新聞や毎日新聞に比べるとひじょうに保守的。全国紙の中では最も自民党の考え方に近いと言われてきた。だからそれだけに保守層、右派層に根強い産経ファンを抱えている。
私は若い記者時代から産経の論調は嫌いだった。しかし東京、大阪での事件を中心にした社会面は、なかなかのものだったし、外国特派員は優秀な記者も多かった。
やはり言論界は新聞の数だけいろんな考え方があってしかるべき。政府や権力者に対しきちんと賛否の論陣を張ることで民主主義は機能するし、それが新聞の存在意義だ。
産経には頑張ってこれからも存在感を示して欲しいと、元新聞人としては願う。
もりもと なおき