和菓子の配達で知った兄貴分の楽しみ
昔、学生時代の夏休み、名古屋市内にあった和菓子製造会社でアルバイトをしたことがあった。
工場で何種類もの和菓子を製造し、それをトラックに乗せ、市内のデパートや駅に配達するのが仕事だった。
今はこうした対応はいいのか悪いのかわからないが、当時は製造した製品は直ぐに冷凍庫へ。そこから出して配達する日が製造日ということで、包装に日付け印、賞味期限の日をスタンプで押した。
凍った生菓子はアイスクリームみたいな良い匂いがした。
兄貴分はことば巧みだった
トラックは40才前後の社員が運転し、私は助手だった。目的地に着いたら注文の数だけ台車に載せてお菓子売り場まで運ぶ。大半はデパ地下だった。
デパ地下の和菓子店。今もデパ地下へ行くと兄貴分を思い出す(本文と写真は関係ありません)
到着したらその兄貴分のドライバーは必ず売り場の女性と嬉しそうに話しをする。それが結構長く5〜10分とか。
クルマに戻り次の目的地まで話しをしてくれるが、やはり立ち話の長い相手とはできているのが分かった。
当時はW不倫という言葉さえなかった
そんな相手がいる店が3〜4カ所はあったから、結構、兄貴分はモテたのかもしれない。
その後は私がおだてるもんだから、話題は自慢も交え連日、エスカレート。
『〇〇デパートの子はえらい上手だがや』とか、『〇〇のオンナはしつこうていかんがや(しつこくて困る)』とか。若い大学生には刺激が強すぎる生々しい話しがズブズブの名古屋弁で展開された。
しかし兄貴分のお相手は若い店員さんじゃなく、いずれもダンナがいる女性ばかり。兄貴分も妻子持ちだったからいわゆる今で言うW不倫だった。
兄貴分は無事に人生終えたのか⁈
政治家や芸能人は、週刊誌にW不倫がよく取り上げられ批判を浴びるが、よく考えてみたら40年も前から、あった話しなんだと思う。
その兄貴分は週刊新潮のかつての人気コーナー『男と女の事件簿』に出てくるみたいなタイプだったから、その後どうなったか。無事で人生を歩んだのか。
百貨店の食料品売り場にいくと今でも条件反射的に、兄貴分を思い出す。ちなみに私も兄貴分の彼女に若い店員さんを紹介されたが、特に進展なくバイトは終了した。
もりもと なおき