『がん患者の心の逡巡』
当初、メンタルが強いと看護師さんにも言われた(逆に考えると相当悪かったんだろう)
カラダの具合が最悪の時でも友人たちはとてもステージ4の癌患者には見えないと、言ってくれた。
まあ、それは何があっても人前では弱音を吐かないように元陸軍少尉のオヤジに教育されたからだ。
でも実は…
体調がいい時はそうでもないが、倦怠感が強い時はいろいろ自分の癌のことをあれこれ考えてしまう。
そんな時、当然、抗がん剤の副作用と思いたいけれど、"少しずつ身体が癌に蝕まれているのかな"と、ひとりで悲観的に思ってしまうこともある。
また、私の癌の今の状態やさらなる転移の有無を調べるため、CTやMRI、PETや内視鏡で定期的に検査をする。これまで合わせれば10数回は行った。

実はこうした検査だけは何度やってもドキドキだ。画像はウソをつかない。そして結果を聞くのが怖いから。
メンタルが強いどころか自分の気の弱さが嫌になる時だ。
今までのところとりあえずは全ての検査で毎回、ホッとする嬉しい結果ばかりだった。私には抗がん剤がひじょうに良く効いているとの評価だ。
しかしそれはそれで癌も耐性が働き、同じクスリはいつまでもは効かないと聞くとまた、心配になる。
"その時は抗がん剤を変えますから"とのことだが、『新しいクスリが果たしてこれまでのように効くのか?』と考えるとまた心配になる。

一般的に抗がん剤が効くのは癌患者のわずか35%(イチローの打率並み)というから、ヒットを打ち続けることが、自分にできるのか…などと、また考え込んでしまうわけだ。
癌患者の思いはこうして堂々巡り。口には出さないけど、いろんな思いが駆け巡るんです。


それでも私がひじょうにラッキーだったのは、治療を受ける徳島大学病院消化器外科の医療チームを心から信頼できたことだ。これが癌患者にとって一番、幸せなことだと思う。
医師への熱い厚い信頼感が治療効果を間違いなく上げることを私が体現したいと思っている。
(右下はクリスマスイブに癌患者らを励ましてくれるドクターたち)