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私なりに鍛えた朝毎読の新人たち。映画『新聞記者』を観て欲しい

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ごくたまに、朝日、毎日、読売新人には敢えて譲った特ダネ記事

地元紙の記者としては、地元ネタは若い朝日、毎日、読売の記者に負ける訳にはいかないが、他社とはいえ立派な記者になってもらいたいから、良いネタに敢えて目をつぶることがごくたまにあった。

朝毎読の記者たちで県警担当になるのは、大学を出て初めて当地の支局に配属された新人が大半。

右も左も分からない、ことばも違う知らない土地に来てみんな頑張っているが、大抵、行き詰まる。こんな時、特ダネを書くと一気に吹っ切れて成長して行く訳だ。

私は長い事件記者生活の中で、特落ちはもちろんゼロ。ほとんど抜かれることもなかった。
所詮、田舎のことだから四六時中、面白いネタが転がっているわけでもないが、小さなネタも工夫次第で特ダネになる。

時間をかけ先輩たちと絶対、落とさない情報網を構築した

警察内部での情報網は、先輩のおかげもあり万全だったから、例えば『もーさん、朝日がこんなこと取材にきたよ』とか『読売が根掘り葉掘りこんなことを…』みたいな具合で、親切に他社の動きまで知らせてくれた。

大半は知ってることだったが、たまには『えっ⁈』と思うことも。だから先手を撃てば潰せる訳だ。

知って記事にしない訳にはいかないから、その日のうちに出稿し、申し訳ないが若い記者の独自ダネや特ダネを潰すことがあった。 

しかしたまには頑張っている若い記者の顔が浮かび、何故か仏心がアタマを持ち上げることも。
警察幹部から聞いてもあえて取材をせず、翌朝は特ダネを書いた他社若手記者を褒めてあげた。

共同通信の新人記者は、加盟社として育てる義務を感じた

あと共同通信は地方紙が加盟するお友だち会社だ。紙を持ってない分、朝毎読より弱かったが、たまには新人を勝たせないといけない。

わが社の早版は午前零時前には版ができるから、特ダネが社会面を踊っている時はたまに共同記者に『すぐ編集局に来い!』と連絡。

『朝毎読は知らないから直ぐに本社に送れ!特ダネになるぞ!』と。

大新聞の最終版は午前1時を過ぎても間に合うから、東京では共同通信だけの特ダネになり、褒められていたようだ。
もちろん、共同でもここまでサービスしてやるのは、いつも懐いてくるヤツだけだったが。

ジャーナリズムの復権は新人サツ記者を育てることから始まると確信する

最近はどうだろう。朝日や毎日の地方版を見てもほとんど事件関連の記事はないから、新人の育て方も違ってきたのかもしれない。

新聞記者の元気のなさと意気地のなさは、やはり新人時代の、特にサツ回りとしての教育が最近は軽視されているからではないだろうか⁈

私は新聞ジャーナリズムの復権は、やはり1年生の時の警察担当の時に記者魂が培われてこそ成り立つような気がする。あの東京新聞望月いそこ氏も、新人時代はサツ回りからきっちりと仕事をしていたと聞いた。


いずれにせよ、朝日、毎日、読売、共同通信の記者諸君には、頑張ってもらいたい。映画『新聞記者』を是非とも観て欲しいと思う。
もりもと  なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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