東京都内の新型コロナウイルスの感染者数が連日、200人を超えている。しかし再選したばかりの小池百合子知事がエラい静かだ。パフォーマンスも完全に影を潜めている。なぜだろう。

第二波きても支援の弾つきた都行政?
まだ3月、感染者が41人となった日は『感染爆発』と書いたプラカードを記者会見場に持ち込み、都知事選挙に向け派手なパフォーマンスがスタートした。しかし何故か再選後は精細を欠く。
数字的には完全に新型コロナウイルスの第二波襲来している。いろいろ考えてみたが、動き始めた経済を止めたくないのももちろんあるが、どうも都の財源、弾が尽きた感は否めないのだ。
つまり貯金である財政調整基金が残り少なくなり、都民に危機を訴えてもカネがないから支援が思うようにできないからだろう。

全都道府県の貯金(基金)は60%は使ってしまった
実はこれは東京都だけじゃなく47都道府県全てに及ぶ。たくさん貯めていたところ、始めから少ないところと格差は大きかったが、全国の都道府県で1兆8868億円あったものが60%ほど新型コロナウイルス感染対策として支出されてしまったからだ。
とりわけ財源が豊富だった東京都はこれまでに8521億円も取り崩し、残りは10%程度となっている。休業要請に応じた業者への協力金が大きかった。
あと大阪府が796億円、神奈川県が167億円。県の人口規模からすると、神奈川県はいかにも少ない。
残高に対する取り崩し額の全国の割合をみると石川県が最も高く91・9%、東京都の91・2%、山口県88・3%、茨城県81・2%、秋田県76・0%などが高率。
東京はやはり都知事選挙があったからの大盤振る舞い?
元々、基金が少なかった比較的小さな県が多い中、東京都が突出しているのは、やはり都知事選挙直前に、小池知事が大盤振る舞いしたと言われても仕方あるまい。
第二波が本格化したら、果たしてどうするのか。
毎日の会見で激増する感染者の数を発表するだけでは、もう済まないだろう。
基金は住民のもの、危機の時に使ってこそ
バカのひとつ覚えのように貯め込んだ基金の額で首長の能力の有無を言う自治体議員がいるが、それは違う。住民に還元することなく、基金ばかり貯め込んでも意味はない。
ともすれば財政の健全化をアピールしたいのか、基金を貯め込むのを目的化してしまう無能な首長もいる。
要は自然災害など危機の時に住民のために引き出すのが財政調整基金だ。危機の時は住民に直接、届くように使うべきで、首長らは全てこのカネが税金であることを忘れてはならない。
もりもと なおき