とんでもなく野蛮な国だと思うが、またこの国の民主主義の深さに感嘆することもある。先月25日、アメリカ中西部ミネソタ州で黒人男性が白人警官により、拘束死させられた事件は、全米各地に激しくも平和な抗議デモが広がる。トランプの支持率は急落だ。

過激なデモより平和なデモこそ社会を変える
そして広がったデモでは、一部が略奪や放火を起こすなど暴徒化する一方で、非暴力で静かに抗議の意思を示す人も目立ってきた。
暴徒の前に両手を広げて立ち塞がり、身体を張って略奪を食い止める勇気ある市民も出てきたのだ。
DJが出てデモでダンスをしている街もある。こうした平和なデモはトランプ大統領の武力による鎮圧を完全に不可能にする。
国民の怒りを軍隊で押さえつけようとしたお粗末な大統領がかつていただろうか。
何をとち狂ったかトランプは首都ワシントンに軍隊まで派遣する準備をしていた。これには国防総省までが『国内政治に軍は出せない』と、厳しいことばで反対したのだ。
デモ隊の前で片膝付き、共感を示す警察官たちも
そしてデモを取り締まる警察官や保安官の一部ではあるが、市民と連帯する動きが出てきたことに驚いた。
そのひとつの象徴が片膝をつく姿勢だ。2016年に米プロフットボールNFLの選手が警察による暴力や人種差別への抗議として始めたポーズに由来するもの。
なんとデモに共感する警官の間でも広がってきたのだ。
デモ隊と対峙すると思いきや、武装した警察官がNFLの選手のようにしゃがみ込み、地面に膝をつく。
闘うために身構えたデモ隊も一瞬、たじろぎ、歓声と拍手に代わる。なんと感動的な場面だろう。
トランプが軍隊を動員しようとしたのは、もはや警察では鎮圧できないとみたのかもしれない。


トランプのやり方は香港市民を弾圧する中国政府と同じ
このデモと連帯する動きはイギリスはじめヨーロッパの国々に広がってきた。
一方、中国政府の意を受けた香港警察による市民への弾圧は、同じ香港市民でありながら、市民への共感どころかますます酷さを増している。
トランプ大統領のやろうとしたことは、彼が批判し敵視する習近平主席の中国政府が香港に軍隊を出そうとしていることと何ら変わらない。
大統領選の行方もはっきりと見えてきた。
もりもとなおき