どんな人物が大統領になろうが、こんなところにアメリカの民主主義がまがりなりにも機能してきた理由があるんだ、と感じるニュースが2本続いた。ともに人種差別に反対するデモに対しての、トランプの対応を巡るものだ。

忖度しかかった?ニューヨークタイムズ編集長、辞任!
ひとつはワシントンポストと並びアメリカのオピニオンをリードするニューヨークタイムズのオピニオン面の編集長が辞任したとのニュース。
日本で言えば朝日や毎日の論説委員長の100倍はパワーがある人の、紙面を巡っての辞任だ。
この紙面に、人種差別に抗議するデモが全米に拡大する中、共和党のトム・コットン上院議員が米軍による鎮圧を呼び掛ける『軍を投入せよ』と題した寄稿が掲載されたことが内外から激しい批判に晒された。
この掲載責任者がジェームズ・ベネット編集長で、批判には『紙面のイデオロギー的多様性を確保する取り組みの一例だ』としたが、社内でも批判は高まり、辞任を余儀なくされた。まさかトランプへの忖度とは思えないが。

共和党パウエル元国務長官、憲法逸脱とトランプ不支持へ
そしてもう一つは共和党の穏健派で今だ超党派で国民的人気の高いパウエル元国務長官が、CNNテレビの番組内で、トランプの再選を支持せず、民主党のバイデン前副大統領を支持すると明言したことだ。

パウエル氏は黒人男性暴行死事件に伴う抗議デモを巡って軍の動員など強硬策を唱えたトランプ大統領の対応を『合衆国憲法を逸脱しつつある』と厳しく批判した。
政治が間違った方向に進みかかった時、必ずメディアや政界から修正しようとする正しい声が出てくるのがアメリカだ。
アメリカに比べ日本の政治家、メディアの情けなさ
これに対し、モリカケ、桜、黒川問題と、政権中枢のウソ、隠ぺい、改ざんが幾度となく繰り返されても政界からも声もなく(石破茂くらい)、頼みのマスコミも安倍政権への忖度報道を繰り返した。

とりわけNHKなど今やとてもマスコミなどと言えない酷いニュースを垂れ流す。民放では骨のあるキャスターが、どれだけ画面から消えていったか。
民主主義の成熟度の違いといえば簡単だが、日本だって戦後、何年経ったのだ。国も地方も政治とメディアに忖度と意気地なしが溢れている。
もりもとなおき