40%近い定員割れ。経営難も増加
全国の大学は国公立169、私立588校もあり、うち定員割れの大学は40%近くにも及んでいる。学校法人の17%が経営難で、さらに増えていく見通し。少子化が原因だが、人口動態を精査せず、私立大学を認可し続けた文部科学省の責任も改めて問わなければならない。
ここにきて文部科学省は平成31年度から、少子化などで経営悪化が深刻な私立大を運営する学校法人に対し、新たな財務指標を用いて指導を。改善しない場合は募集停止や法人解散など撤退を含めた対策を促す方針を決めた。
国として厳しい姿勢で臨むことで、赤字が続く大学側の危機意識を高め、経営改革を加速させる狙い。しかしさらに進む少子化を考えると、経営危機は止まらないだろう。
ことしから減り続ける大学生
18才人口は1994年の205万人をピークに減少している。ここ数年は120万人程度を維持していたが、2018年からさらに減少へ(2018年問題)
2031年の予想は99万人で、ついに100万人を下回ると予想される。
また昨年の大学、短大、高専、専門学校への進学率は81%ですでに頭打ち。
進学率はピークでまず変わらないから、今年から進学者数は確実に減り続け、大学などの経営はさらに厳しくなるのは当然。
日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、私大の定員割れは約20年前には3.8%に過ぎなかったが、16年度は44.5%に。定数の厳格化でことしは少し持ち直したが、18才人口は下がり続けるから、より厳しくなる。
何でも認可し続けた文科省の責任大
ここまで大学の設置認可を続けてきたのが文部科学省の大学行政。
大半の私立大学にはキャリア、ノンキャリ含め文部科学省、国公立大学から大量に天下りをしており数十年間の野放図ともいえる大学の設置認可と無縁ではないだろう。
そして大学の激増と授業料の高騰は無縁ではない。国公立、私立とも国から相当の補助金が出ている。大学が増えれば当然、一校当たりの補助金は抑制される訳で、経営は苦しくなる。結果、学生というか、保護者への負担は増える。研究費も減る。
低い教育水準やビジョンなき大学経営を続ければ、今後予想される大学の倒産は必然で、厳しい淘汰があってしかるべきだ。文科省も厳しい姿勢を打ち出した以上、履行してもらいたい。
もりもと なおき