コロナ禍で大学や大学院を退学したり休学した学生は、10月の段階で少なくとも5238人にのぼることが文部科学省の調べで分かった。もちろん経済的な理由が多いと思われるが、リモート授業が主でせっかく入った大学に登校できない、友人ができない。つまり期待していた学園生活が送れないことも、理由のような気がする。

コロナ禍で大学、院を退学、休学が5200余人
実はコロナ禍が原因で退学を余儀なくされた学生は確かに多いが、全体の退学、休学自体は昨年同期よりかなり減っているからだ。
この数字を見れば一概に経済的理由だけではなさそうだ。
文科省が全国の国公私立大に調査したところ、コロナ禍も含めた全体の中退者は2万5008人、休学は6万3460人で、昨年の同時期と比べると、ともに6833人、6865人も減っていた。
経済的なことが1番の理由なら、コロナ禍の今年は昨年より減るということはまずあり得ないからだ。
コロナ禍での退学は新1年生のが突出している
また、中退した学生・大学院生は1033人、休学は4205人にだが、このうち、学部1年生はそれぞれ378人(約37%)、759人(約18%)だった。
なぜか圧倒的に1年生の中退が多いのだ。
大学に入学する時、とりわけ自宅を離れて学生生活を送る時はそれなりの生活設計を立てる。
仕送り、奨学金、アルバイトなどどれが欠けてもままならないケースは多い。それがコロナ禍でいきなり家計の状態が悪化したうえ、アルバイトもなかったという新1年生は多かったのかもしれない。
リモート授業がもたらした孤独な大学生活
そして見逃してはいけないのは、大学キャンパスへ一度も足を踏み入れないまま、リモート授業が始まったことだ。
大学へ行かなければ友だちもできない。地元を離れていれば周りに知り合いはなく、孤独だ。
そして入学した大学が本命でなく滑り止めだったらどうか。
恐らく大学への気持ちは薄れ『やめてしまおう』『また本命を受け直そう』という気持ちになるかもしれない。
1年生の退学が飛び抜けて多いのは、生活苦だけでなく、そんな一面があるような気もする。
国は経済的支援、大学は学生たちの心のケアを
ところで文科省はコロナ禍で経済が冷え込めばさらに中退者が増える可能性が高いとして、学生らへの支援を拡充させる。
具体的には学びの学業継続支援として、バイト収入が大幅に減った学生に無利子の奨学金の再募集を行う。
また就職内定が取り消された学生があえて留年する場合は、奨学金の貸与期間を1年延長するなどの措置を取るようだ。
こうした経済支援に加えて、各大学で学生たちの心のケアも極めて大切だと思う。
もりもとなおき