日本人が忘れつつある怒りを教えてくれた半沢直樹
日本人がすっかり忘れてしまった怒りが毎週、爆発する。一銀行員が銀行員の矜恃を持って政権政党の大幹事長の不正と利権に切り込むー。
簡単に潰されずどこまでも闘う姿に、どれだけ皆んなが勇気づけられているか。
権力への忖度報道が常態化し、頑張る記者を孤立させる腰抜け揃いの新聞、テレビの記者諸君が、あのドラマを見て何か感じてくれたらいいが…無理だろうな。

悪党政治家には土下座はしない半沢の勇気と男気
人気ドラマ『半沢直樹』第9話。いやあラストシーンは興奮した。
政権政党で権力を欲しいままにする、箕部幹事長の利権のための犯罪的不正にやっとたどり着き、追い詰めた半沢たち。
しかしながら土壇場にきて自己保身から中野渡頭取と大和田が、決めてとなる証拠書類を当事者である箕部幹事長に渡してしまうという、信じ難い妨害に出てしまった。
自身の不正を暴いた半沢の行動に、烈火のごとく怒る箕部幹事長。そして幹事長に言われるがまま、半沢に屈辱的な土下座を強要し、力づくで半沢を押さえつける大和田…
しかしそれをはね返し『この借りは必ず返します!やられたら、やり返す!倍…いや3人まとめて1000倍返しだ!』と宣言した半沢は、果たして最終回、どうなるのだろう。

不正暴くのは本来、新聞記者らの役割だが
昨年、話題となった映画『新聞記者』では、政権の不正、国家権力の犯罪に疑問を抱いた若手官僚が、女性新聞記者にヒントを与え、不正を暴くことを託した。
半沢直樹はライバルで片岡愛之助扮する金融庁検査官の黒崎が箕部の圧力で国税庁に異動させられる時、半沢に箕部の不正を暴くヒントをささやき全てを半沢の正義感に託した。
今の社会は正義がまかり通らないケースがあまりにも多い。そして国民が怒らない。というよりそれは闘うべきジャーナリストが忖度報道に走り、真実を伝えないからに過ぎない。
胸をうつ半沢の銀行マンとしての矜恃
箕部、中野、大和田の3人の前で半沢が怒りに震えなが中野に訴える姿は圧巻だ。
『銀行は誰のためにあるんだ。一部の権力者のためのものじゃないだろう。国民のための銀行じゃなければならないんだ!』と、激しく頭取を説得する真摯な姿は胸を撃つ。
半沢直樹が理不尽な権力や不正と闘う純粋な正義感が多くの人の胸をうつから、今このドラマは話題であり、人気なのだ。
半沢直樹は君らジャーナリストと違って銀行マンだよと、記者諸君に改めて言っておきたい。
もりもとなおき