気に食わない質問でも自民党大幹事長は激昂しなかった
昔の自民党幹事長。田中角栄、安倍晋太郎、竹下登、小渕恵三、橋本龍太郎、小沢一郎、加藤紘一、野中広務…パッと浮かぶのはこんな面々だ。
いずれも大物感ハンパないし、当時のニュースを思い起こす限り、気に食わない質問をされても息子や孫のような新聞記者を怒鳴りまくるなどという恥ずかしい政治家はいなかった。
とにかく大物だから。
当時の小沢一郎は鼻持ちならん感じではあったが、感情のままに記者を恫喝するなど、あり得なかった。
角さんに至っては『記者諸君に批判されるのが政治家の仕事』と言っていたくらいだから、いつも堂々たるもの。
東京地検特捜部に任意同行を求められている時でも、群がる記者やカメラマンにいつも通り、右手を上げてクルマに乗り込んだ。
カジノ疑惑秋元の質問に二階幹事長の尋常でない怒り
まあかつての大物幹事長はこんな感じだが、数日前の二階俊博自民党幹事長の激昂ぶりは尋常じゃなかった。
とても大自民党の幹事長とは見えなかった。
ニュースは二階幹事長が20日、台風19号の被害を受けた栃木県内を視察した時のことだ。
ぶら下がり取材で、どこかの記者がIRを巡る疑惑で東京地検特捜部から任意聴取された秋元司衆院議員(25日、収賄容疑で逮捕済み)について尋ねた。
すると何が気に障ったのか突然、ものすごい剣幕で激高、質問した記者を罵倒した。
そしてテレビ東京が報じた動画がSNSで広がり話題になっている。
『東京地検がすった転んだって、俺が知るかい!』
質問され憮然とした表情を浮かべた二階幹事長は、指で記者を小突きながら「キミは大事な仕事としてオレに聞いてるんだろうけど、今そんなことの説明に来たんじゃないじゃないか、オマエ。場所を考えて言え!」と、エキサイト。
「東京地検がすった転んだって、そんなことをオレが知るかい!」
「キミは得意になってるけど、そんなバカなことあるかい!」
と、相当、興奮していたという。
実は二階幹事長も地元・和歌山でのカジノ設置を推進してきただけに、今回の一件でミソがついたことに怒り心頭なのかもしれない。
不祥事続きの二階派所属議員
さらに、秋元司は二階派所属。二階派は失言連発だった桜田義孝元五輪相。準強制性交などの疑いで書類送検され辞職した田畑毅元衆院議員も二階派だった。
そして前職だが、二階派勝沼前衆院議員の事務所へも東京地検の捜索が入った。
党のまとめ役とならなければならない幹事長の派閥からの相次ぐ不祥事。イライラはまだまだ続きそうだ。
もりもと なおき