自分のエゴでしつけ、虐待。自己保身が暴力をエスカレートさせた
『親になろうとしてごめんなさい』ー。
東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛ちゃん=(当時5才)日常的に執拗な暴行虐待を加え死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の船戸雄大被告(34)の裁判員裁判の第4回公判が終わった。
最後に裁判長に促され、船戸はこのように呟いたが、私はよく意味が理解できない。

被告人質問で船戸が何度も口にした『自己保身からだと思います…』。これも論告、判決に臨む自己保身からの言葉じゃなかったのかとの気がした。
サッカーボールみたいにお腹を蹴られ、真冬に冷水シャワーを
初公判の検察、弁護人の意見陳述から始まり、証人調べ、検察、弁護人双方からの被告人質問が4日間行われたが、記録を見てこの人間を死刑に問えない矛盾を痛感した。
7日に論告求刑公判が開かれるが、検察側は問われた罪での量刑いっぱい、懲役20年を求刑するだろう。それしかあり得ないと考える。
サッカーボールを蹴るように結愛ちゃんのお腹を思い切り蹴った(優里被告)
結愛ちゃんの遺体を背負った時のことは一生、忘れない(救急隊員)
風呂で仰向けの結愛ちゃんに馬乗りになり、顔10㎝から冷水シャワーを何度も浴びせた(雄大被告)
被告人質問で本人から語られた雄大の結愛ちゃんへの執拗で激しい暴力は、とても列挙できない。
遺体に170カ所の傷とあざでも、殺人罪に問えない現実
遺体には雄大の暴力による170カ所に及ぶ傷やあざが残っていた。なぜ殺人罪ではないのか。なぜ未必の故意が適用できなかったのか。多くの人たちの怒りを込めた当たり前の感情だろう。
ぐったりした結愛ちゃんの口から吐いた液が、亡くなる2日前、前日、黄色から茶色に変わった。それでも救急を呼ばなかった。
その理由は虐待を発覚させたくないという『自分に自己保身があったと思います』と。
雄大は生きてどのような償いができるのだろう。できないと思う。
子ども虐待死に対しては、別個の法整備を進めるべきた。でないと殺された子たちが浮かばれない。
もりもと なおき