『舘ひろし…名古屋の良家のボンボンが不良になるとかくも魅力的だ』
良家の息子だけど実はど不良って、何か魅力的だ。悪ぶっても育ちの良さとか頭の良さが垣間見えることがあり、ただのチンピラとは違う。不良は若気のいたりで必ず将来は、大きなものになるケースが多い。
私が名古屋市立川名中学校時代の友だちの朝日のしんちゃん(信吾)は、県立千種高校ラグビー部で舘ひろしの二級後輩だった。
舘先輩は高校時代からほとんど"クールス状態"で、ただただ恐ろしい存在だったと、話は聞いていた。

先日、NHKのファミリーヒストリーはそんな舘ひろし家にスポットライトを当てたが、やはり不良は仮の姿でかなりのボンボンだったようだ。
実家は元徳川家の離れともいう築200年の家屋。中区老松町だから庶民はなかなか住めない場所だ。実家は医者だったことは有名だが、お父さんは名古屋大学医学部で博士号を取ったくらいの秀才。

さらにおじいさんは愛知県庁の土木技官だったようだが、世界にひとつしかない橋を新城市で架け、現存することも紹介された。
おじいさんは名古屋高等工業(現名古屋工業大学)出身だからこれまた秀才だ。愛知県で名古屋大学、名古屋工業大学と言えば秀才の代名詞だから、舘家は相当、頭脳明晰の家系なのに、舘ひろしだけはなぜ?
お父さんは息子を2人とも医者にしたかったが、結局、弟だけだった。
さて、それでも千葉工大建築に進んだ舘ひろしが建築士の資格を取って欲しいと、お母さんは舘がクールスの間も西部警察の間も授業料を納め続けたという。
またわざわざ千葉工大まで年に一回、挨拶に赴き、名古屋のういろうを事務局に届けていた親心には泣けた。
もりもとなおき