学術会議が旧帝国大学に偏っていると菅首相
官邸官僚が書いた答弁書だろうが、菅首相が日本学術会議の任命拒否理由のひとつとして、『旧帝国大学が45%もいる』ことを挙げ、会員が偏り多様性に欠けるーなどとしたのには、首を傾げざるを得ない。
そもそも旧帝国大学(東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州)は、学者や高級官僚を排出するための大学だった。私はそうした認識だった。
旧帝国大学は今も日本の自然科学や社会科学、人文科学の分野で最高の教育、研究をしている大学だ。予算も私学などに比べれば格段に多い。

一流の学者は優秀な旧帝大出身者が多いのは当たり前
そういう意味でも日本学術会議に所属する学者の多数を占めているのは当たり前だろう。
45%と聞き、『えっ⁈そんなに少ないのか!』と、思った人は多かった(私はそう思った)
多様性という意味では学者以上に官僚の世界はもっと偏りがあったはずだ。今でこそ東大生の間で官僚の人気はガタ落ちになっているが、数十年前はどうだったか。
国家公務員上級職(当時)は旧帝国大学出身者の職場であり、旧帝の中でも東大、京大が圧倒し、大蔵省などは80%が東大卒が占める時代が続いた。
今でこそ東大、京大に続き早稲田や慶応、中央法科が多数の合格者を出しているが、当時はわずかだったのだ。
今、東大はじめ旧帝国大学出身者の官僚志向が激減してきた。これは安倍さんから菅首相までが誇り高き官僚を、屈辱的な忖度政治の犠牲にしたのが最大の要因ではないのか。

知性を抑圧する国家の危険性をみんな認識している
菅首相は答弁の中で学術会議のメンバーは、旧帝国大学出身が45%、あとは173の国公立大学は合わせて17%、615もある私立大学は24%にとどまっているーとした。
何度もいうが当たり前なのだ。ご自身は法政大学ご出身だ。田中優子総長の元、人気の法政だが、失礼ながら旧帝大と同じように学者を排出できるかどうか。
旧帝と私学ではそもそも学力も研究環境も違う。普通に考えれば、答弁のおかしさに気づくはずだ。
早慶といえど所詮、私立。私文などはわずか2〜3科目の受験勉強。学者がエラいとは全く思わないが、学者になるという意味では旧帝国大学とそれ以外は、フィールドが違うのだ。
それでも任命拒否6人のうち3人は私立大学だった。これだけでも菅答弁は破綻している。
政治が知性を抑圧した国家の悲惨さは、歴史を学んだものなら、誰でも知っている。
もりもとなおき