政治の学問への介入は自由主義圏では疑問だ
学問への政治の介入は共産主義国家や軍事国家以外は誉めてくれない。菅首相の日本学術会議から6人の学者を理由なく排除した問題は、世界の有力な科学誌やメディアに取り上げられている。もちろん批判的にだ。
日本は共産主義国家や軍事国家じゃない。しかしながら政治がアカデミズムに介入したことで諸外国に誤解を与え、国益が損なわれることがないようにお願いしたいものだ。
排除の実務は本公安警察の杉田官房副長官とか
菅首相の様々な答弁などを通じて、6人を排除する実務を行ったのは、官房副長官の杉田氏であることだけははっきりした。
そしてその理由は"反政府の動きを先導しそうだから"という、びっくりするようなことだった。
杉田さんは警察官僚としてはトップの警察庁長官まで務めたキャリ官僚だ。
さらに警察では警備公安畑を中心に歩いた人だ。
公安出身…さもありなんの排除にこの問題は収まりそうもない。

サイエンスなど世界の学術誌やメディアも厳しく批判する
世界でこの問題を取り上げたのは、『サイエンス』『ネイチャー』の2大科学誌と、『ル・モンド』『ファイナンシャルタイムズ』『ロイター通信』などだ。
サイエンス誌は「日本の新首相は日本学術会議との闘争を選んだ」という記事を掲載し、学問の自由の侵害であるという研究者らの主張を取り上げた。
ネイチャーは政治により学術的な自治が脅かされていることを指摘。その例として日本学術会議かり6人の学者が菅首相に排除されたことを伝えた。
またフランスの高級紙ル・モンドは「日本の首相が知的世界と戦争」という記事を掲載し、菅首相が批判が嫌いだと指摘。
イギリスのファイナンシャルタイムズは「日本学術会議スキャンダルが菅政権の蜜月時代を脅かす』と、スキャンダル扱い。
ロイター通信も「日本の菅政権、学術会議の任命拒否の弁明に非難」としてやはりスキャンダル扱いした。

優秀な海外の人材が日本を避ける可能性も
いずれも政治の学問への介入であり、学問の自由の脅威であると扱っている。そしてその理由も自身が官房長官を務めていた安倍政権の政策への批判が原因と指摘。政権を揺るがすレベルのスキャンダルとして見ている。
このまま任命拒否が押し通されれば諸外国からは「日本には学問の自由がない」と見られても仕方がない。
海外からの優秀な学生や研究者が日本で活動する機会はさらに減ってしまう可能性もあり、今回の任命拒否は日本の信用失墜に確実に繋がる。
政権政党の政治家たちが、このくらいのことを理解できないことが、深刻だと思う。
もりもとなおき