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裁判員の正義は通じない⁈残虐神戸女児殺害で死刑を回避した最高裁

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裁判員裁判の制度が導入され10年が経過した。とかく浮世離れした刑事事件の裁判官に、社会の常識や怒りを伝える意味でも良い制度だと歓迎したが、高裁で簡単に覆されるケースも多く、裁判官の前例主義はなかなか打ち破れない。

裁判員の怒りと正義は、必ずしも司法に届かない

昨日もこんな最高裁の決定があった。神戸市長田区で2014年、小学1年の女児(当時6歳)を殺害し、殺人や、わいせつ目的誘拐などの罪に問われた無職、君野康弘被告(52)の上告審。最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は1日付で検察側の上告を棄却する決定を出した。
裁判員裁判の1審神戸地裁判決は死刑だった。しかし大阪高裁はこれを破棄し、無期懲役を言い渡し、検察が上告していたが、男の無期懲役が確定する。


君野康弘

■こんなに酷く残虐な事件だった

君野被告は2014年9月11日午後、長田区の路上で『絵のモデルになって』などと女児に話しかけて自宅アパートに誘い込んだ。そして首をロープで絞めた後、包丁で刺して殺害。遺体を切断しビニール袋を入れ近くの雑木林などに遺棄した。犯行はわいせつ目的だったことを自供している。

あり得ないくらい残虐な犯行だと誰でも思う。一審裁判員裁判は、事件の計画性はなかったと認定しつつも、殺害方法の残虐性などを重視。「生命軽視の姿勢は甚だしく顕著」と死刑を選択した。
ところが2審判決(17年3月)は「1審は計画性が認められないことを不当に軽視した。裁判員裁判は尊重すべきだが、是正せざるを得ない」として1審を破棄し、無期懲役を言い渡していた。

これだけ残虐に殺害し"生命軽視の姿勢、顕著でない"と最高裁

最高裁小法廷は『計画性はない。被告の生命軽視の姿勢が甚だしく顕著とは言えない』と判断。死刑の適用は慎重でなければならないとした。
しかし驚きだ。これだけの筆舌に尽くしがたい犯行で生命軽視の姿勢は顕著でないとは。裁判官と私たちの感覚はこんなに離れているのかと思う。

裁判員裁判の死刑判決を破棄した高裁判決が最高裁で確定するのは4例目。小法廷は、死刑の選択には慎重さや類例との公平性確保が必要だと指摘。要するに判例と言う名の前例に従えということか。

殺害の計画性が認められなかった点を踏まえ「(死刑の選択が)真にやむを得ないとまでは言い難い」と結論付けた。裁判官5人の全員一致意見。性犯罪に対する彼らの甘い対応を含め、われわれと裁判官のあいだに著しい意識の乖離を感じる昨今だ。
もりもと  なおき

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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