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記者も印刷工も公平という誇りを捨てるから、新聞はダメになった

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私が新聞業界に入った時は、給与体系は年齢給以外は全て平等だった。
つまり学歴は中学卒だろうが東大卒だろうが、記者だろうが営業マンだろうが、印刷工だろうが皆んな公平だった。


地方紙も朝日、毎日、読売の三大紙も同様。他の産業にはないホワイトカラーとブルーカラーの待遇面の平等・公平が当時の新聞産業の『誇り』でもあったのだ。

しかしながら新聞産業の衰退が顕著となった近年はどの新聞社も完全にその誇りを放棄した。
今や、職種によって何倍も給与の開きがある。酷い給与格差ができているのだ。

つまりいわゆるブルーカラーの印刷や制作部門を切り離し、別会社にした。

結果、新規採用者からは低水準の給与で雇用し本体の立て直しを図ったのだ。
要するに編集エリート、営業エリートの待遇を守るための業界の改革と、言われても仕方ないだろう。
少なくとも私にはそう映った。
結果どうだろう。

記者の待遇を守って良い紙面になったのか?営業エリートを作って広告収入が増えたのか?
残念ながら逆だ。

内部の格差に鈍い記者が果たして公平な社会をつくるためにペンをとれるのか…
社会悪に対し毅然たる姿勢で闘えるのか…
断じて否と言わざるを得ない。
新聞産業の斜陽化を食い止める改革が、逆に守り続けた誇りを失い、新聞から牙を抜いてしまったのは間違いない。
当然の記者の劣化、紙面の劣化を招く要因になった。

家貧しくして孝子出ず。
新聞記者たちのハングリー精神こそ社会を変える記事を生み出すと、未だ信じる私は昭和過ぎるのか。

もりもとなおき

  • この記事を書いた人

morimoto_ naoki72

森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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