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記者クラブで食べた"おふくろ食堂"のすきうどんは青春の味

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新人の記者時代の夕食は毎晩、県警の記者クラブに出前を取った。わが社の先輩2人を除いたら私や他社の記者は皆んな独身だから、大抵は一緒に同じところに注文した。

6時半頃、『きょうは何処にする?』と誰かが声をかけ、注文先が決まると一番に声をかけたヤツが電話をした。
必ず出前を取ったのは、僕、共同通信船木、柴田、朝日新聞馬郡、読売笹井、毎日平野…といったところ。


 NHKの大島や内田、四国放送の降旗はなぜか7時には局に戻ることになっており、記者クラブでは食べなかった。

出前の一番多かったのは旧徳島東署近くの『おふくろ』という食堂だった。
店の名前が皆んなの里心を誘うが、作っているのは60過ぎのオヤジさんだった。

その食堂は何らかの犯罪で逮捕され、東署に勾留されている留置人の指定食堂でもあった。
だから僕らと留置場の被疑者たちは毎晩、ほぼ同じものを食べていたのだ。

今でも忘れらない定番のメニューは『すきうどん』『卵焼き』『ポテトサラダ』『メシ大』だった。


すきうどんは名前の通り、すき焼き風のお汁の中にうどんが入ったもの。豆腐や少量の野菜の他、肉は小さいのがひとかけら発見できるか否かだったが、実に美味しかった。
卵焼きやポテサラもまさに原点と言える味で、本当に美味しかったのだ。

今でも家ですき焼きの時は、必ずうどんを入れるが、思い出すのはすきうどんと記者クラブ。
ヘルメットを被りクレープシャツで出前をしてくれたオヤジさんの人の良さそうな笑顔も浮かんでくる。

もりもとなおき

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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