あれだけ上手くヤクザを演じる俳優さんはいないと思う
仁義なき戦いの梅宮辰夫さんは、ヤクザ以上にヤクザだった。
雰囲気、喋り方、顔つきはまさに武闘派暴力団そのもので、抗争好きのイケイケの雰囲気、満載だった。
事件記者時代、現職暴力団組員はたくさん見たが、俳優で違和感無く組幹部で通用するのは梅宮さん、あと金子信雄さんが浮かぶ。

これに対し高倉健さんや菅原文太さんはやはり銀幕の中だけの渡世人。
仁義なきの北大路欣也さんみたいな極道は見たことはなかった(絶対いない 笑)
梅宮さん、仁義なきでは最後は警察官に射殺されたと思うが、戦後の混乱期、広島で死闘を繰り広げた暴力団組員を見事な演技力でこなしていた。
少年時代、失神トルコ風呂の映画看板にコーフン
実はわれわれが少年時代は梅宮さんと言えばエッチな兄貴分かおじさんで、成人向けの俳優さんのイメージが強かった。
当時、街角や映画館で見た梅宮さんが主演する映画の看板やポスターは『ポルノの帝王シリーズ』や『失神トルコ風呂シリーズ』など、成人向け映画を中心によく出ていたからだ。
役者として名前を確たるものにしたのは『不良番長シリーズ』。
やはり不良〜ヤクザの役は抜群に上手かった。

家庭的な永遠の不良だった

役者として劇的にイメージチェンジしたのはテレビドラマ『前略おふくろ様』だろう。板前見習いのショーケンの兄貴分の板前役だったが、いつの間にかそれまでの役と全く違う素朴ないい味をだしていた。
娘アンナの結婚問題で、家族思いの普通に厳しいお父さんだったことも。
恐らく不良やヤクザは役に徹していただけで、遊び人とは真逆の家庭的な人だったのかもしれない。
心からご冥福をお祈りします。
もりもと なおき