賃上げ気にしなくとも爆上がりした時代があった
新聞社に勤めている時、労働組合の役員もしたが、賃上げには全く興味がなかった。それよりも"編集権の独立"を自身の組合活動の最優先事項にしていた。
どういうことか。もっぱら社側が編集に介入しないこと。スポンサーの意向で記事に手心を加えないこと。管理職記者が忖度記事を書かないこと…これをやかましいくらい主張、監視した。
役員であっても会社やわれわれ記者の活動に不利益なオヤジは団交の席で名指しで指摘したから、一部幹部はウザいと思っていたかもしれない。
しかしながら実は当時の社長、総務局長はともに熱い時代の新聞記者出身だから、私の心情は経営者でも100%理解していたと思う。
妥結額2万5000円という恐ろしい春闘だったことも
しかし今になって思うと賃上げに興味がなかったのは、当時は面白いようにベアや定期昇給がなされていたからだ。
記憶は定かではないが妥結額が平均2万5000円を優に超えた時もあった。これで年間30万円アップにボーナスは8か月はあったからそれだけで20万円アップ。
合わせたら年間50万円も年収がアップしたから、バブル期はとんでもない時代だったのかもしれない。
なんと産業界全体で2%以下になりそうだ
この春はトヨタでも満額回答で9200円、電機大手でベア1000円以上だから寂しい話だ。産業界全体で2%を割り込みそうというからコロナ不況の影響は相当だ。
大手でこれだから中小は悲惨な春闘となるだろう。

大手が伸びればそれに中小が引っ張り上げられ、全てが底上げするとまことしやかに言ったおバカな総理大臣がいた。
そのアベノミクスとやらで大手の景気は浮揚したが、内部留保を増やすばかりだった。実質賃金は世界で日本だけ、約30年も上がっていない。
もりもとなおき