政権交代の制度、必ず馴染んでくると言った後藤田正晴さん
1994年3月、細川連立政権の下、国会で小選挙区制度を含む『政治改革四法』が成立した2日後、衆院議員会館の後藤田正晴先生の部屋で話しを伺った。確か徳島新聞の記者も一緒だったと思う。

この制度で果たして政権交代もありますか?と尋ねた私に後藤田先生は
『3度くらい選挙をしたら、2つの大政党に必ず馴染んで落ち着いてくる』とし、
と、将来に期待を込めた。
当時は非自民連立政権だったが、自民党の改革派が自民党を引っ張っていき、実現した政治改革だったのだ。

そして本当に実現した小選挙区制度下の政権交代
そしてそれは本当だった。
小選挙区制度が誕生した1994年から15年後の2009年、民主党が自民党に圧勝、ついに政権交代が実現したのだ。
小選挙区制度下で初の衆院選挙があった1998年以来、11年後、5回目の衆院選挙であった。
もちろんじわじわと政権交代が近づいているのは、それまでの選挙でも十二分に国民は肌で感じていたものだ。
横綱対幕下が複数の今の政治状況
小選挙区制度の下で選挙を戦うことは、即ち大政党同士の戦いに持ち込まなければ、まず勝ち目はない。
自民党という横綱を倒すのに、幕下や平幕下位が複数で順にかかっていっても、普通は勝負にならないのだ。
今の現状はまさにこの状況だ。安倍政権の支持率が30%さえ割り込む今、2009年の衆院選挙を再現するチャンスと思うが、野党の核となる立憲民主、国民民主両党に熱さを全く感じないのだ。
昨日も
"玉木氏が直談判、拒む枝野氏 交渉停滞の野党合流"
の記事を目にして、まだこの人たち、こんなことを…との虚しさを感じた。
恩讐を超えなぜ闘う態勢を取らないのだろう?
両者、いろんな思いがあるのは理解できる。希望の党騒ぎの時、簡単に騙されて寝返り、民進党を崩壊させた連中(現在の国民民主党)への枝野幸男氏らの様々な思いがあるだろう。
その意味でも『立憲民主』という名前にこだわるのも理解できる。
しかし再婚するのに夫婦別姓を推進する枝野氏らが、名前を押し付けるのも強引過ぎないか。
政権が腐敗したら政権交代する。そのために小選挙区制度はスタートしたのは、誰も異論はない。
しかし今、国民が交代して欲しくとも、交代できる、選挙で勝てる政党が無いじゃないか。

野党がダメなら自民党の改革派に託したいが、いるのか?
かつての民主党のリーダーたちが次々と自民党に身売りしているが、この連中の建前はともかく、国会議員であることが自己目的化してしまったとしか、私は思えない。
政権交代を託す政党が無いのであれば、自民党の中の勇気ある良識派に託すしかないが、果たしているのか。
オールド世代としてはやっぱり自民党内部で壮絶な闘いを繰り広げた『三角大福中』時代を懐かしんでしまうのだ。
枝野さんや玉木さんに言いたいのは、皆さんの支持者にこういう考えの人が増えているということだ。まあ、諦めかもしれない。
もりもとなおき