第二次大戦後、困難を乗り越え、"貧しいながらも清く正しく国づくりに頑張ってきた発展途上の大いなる国"などという、子どもの頃に描いた中国へのイメージは、まさかと思うがもし残っていたら、完全に払拭しなければならない。もし、日本人の中にこんな思いが1ミリでもあるとしたら。

中国政府の香港やウイグルへの弾圧、注視を
田中角栄や大平正芳が、毛沢東や周恩来と談笑したあの時代の中国はもう遥か彼方にいってしまった。
あるのは国際的な約束である中国・香港の一国二制度を崩壊させた覇権主義丸出しの国なのだ。
ウイグル人への想像を絶する弾圧も、決して忘れてはならない。
中国への幻想がどの世代かでもし残っているなら、改める必要があるだろう。もっとも、中国へのいくばくかのシンパシーが残っているのは全共闘世代、そして少し下の我らが世代かもしれない。
『造反有理』の美名の元、闘ったこともあるからだ。
子どもの頃、全国で展開された『中国展』に行き、英雄(ヒーロー)万年筆を嬉々とし手に入れた日もあった。

香港市民を弾圧、自由奪う香港国家安全維持法
中国の習近平国家主席は30日、中国政府が香港の統制を強める『香港国家安全維持法』に署名し公布した。
そして直ちに香港政府は同日午後11時(日本時間7月1日午前0時)これを施行した。
これで香港は高度な自治を認められた「一国二制度」が事実上、崩壊したといえる。法施行のスタートの日だけで370人もの香港市民が不当に逮捕(新法適用は10人)されたのだ。

自由を求める行動は政権転覆、テロ活動とみなす
香港政府が官報に掲載して初めて明らかになった条文は、完全に香港市民の自由を奪うものだ。
中国政府が香港に治安維持機関を新設し、司法や教育などあらゆる面で関与を強めるとある。
反中的な行動、つまり「国家分裂」「政権転覆」「テロ活動」「外国勢力と結託」を犯罪として定め刑事責任を問うのだ。
最高刑は「終身刑」。香港では外国人を含め「いかなる人もこの法律を適用する」とも明記した。世界有数の国際金融都市としてのこれからに、暗雲は立ち込めるのは間違いない。
アグネス『生きてさえいれば希望はある』と、デモシス脱会
この日、民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏や黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らは所属していた政治団体「香港衆志(デモシスト)」から脱退すると発表した。法律施行による同団体への取り締まりが迫るからだろう。リーダーとして所属しているだけで逮捕されるかもしれなかった。


アグネスはSNSで『私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。
生きてさえいれば、希望があります』とツイートした。
経済は別として、日本人も中国を厳しく注視しよう
国際社会、とりわけ日本や欧米など西側諸国が厳しく中国を注視していかなければならない。
特にわが国はインバウンド需要などに期待し、政治も民間も口をつぐむのはやめよう。
自由のために闘う人には、心だけでも連帯を。
もりもとなおき