東大など国立大学の合格発表が相次いでいる。私立大学はほぼ終わっており、新入生らはこれから入学準備に追われる。親子とも夢膨らませる時だが、コロナ禍の中、高い授業料、新生活を考えれば喜んでばかりはいられない。

国立大学の授業料が月、1000円の時代もあったのだ
古い話しで恐縮だが、われら世代は国立大学の授業料は年間、12000円、1ヶ月に割ればわずか1000円だった。もちろん今と貨幣価値は違うがこの金額は当時でも無償に近い感覚だったのだ。
私立大学だって早稲田や慶応でも年間、8万円だから月額6800円。最も安い中央と立命館は年間6万円、月5000円だから幼稚園とさほどかわらなかったと思う。
それでも国立へ行けば親孝行と言われたし、わずか月に2000円弱の違いでも中央大学は早慶より苦学生が多かった。
所得は30年停滞の中、上がり続ける授業料
これが最後の良き時代なのかもしれない。その後、国立も私立もスライド制がとられ、数年毎の値上げで授業料はうなぎのぼり。
国民所得を遥かに大きく上回るペースで高騰し続けている。
ちなみに現在、国立大学は当時のすでに50倍近くにも及び、標準が年間53万5800円。私立大学は学部によって異なるが早慶で120〜160万円にも及んでいる。
この30年、日本人の実質賃金が上がらない中、親も学生も大変だと思う。
アルバイトと奨学金で学生生活は自分の力でなんとか賄えても、この高額な授業料まではとても無理だろう。
コロナ禍、泣く泣く退学を余儀なくされる学生も
当然、1授業料は親の負担となるが、コロナ禍で親の収入も減少している。そして学生本人もバイト収入の激減で、退学を余儀なくされた学生も相次いでいる。
この高い授業料について政治が真剣に向き合ったことはあったのだろうか。
大学の数が700も超えてしまった現状では、全ての大学で授業料の無償化は難しいのはわかる。
しかし少なくとも学生や親の負担が軽減するよう、何らかの対策はできないのか。例えば返す必要がない給付型奨学金受給者を大幅に増やすだけでもいい。
大学への補助金ではなく、全ての学生への個別の対応をすべきだ。
もりもとなおき