潜水艦乗務員の勤務の過酷さは、想像を絶するものだ
海上自衛隊の幹部だった友人に潜水艦勤務の過酷さを聞いたことがある。狭矮(きょうわい)な船内。からだは十二分に動かせない。
潜水航行訓練では海水面に浮き出ることもなく、太陽を見ることもなくその狭い艦内で2〜3週間も過ごす。
精神的プレッシャーはもの凄いものがある。閉所恐怖症じゃなくとも、相当にメンタルが強くなくてはまず耐えることはできないという。
彼は訓練は経験したが、潜水艦乗りになるのは到底無理だと思ったと言う。
麻生財務大臣の潜水艦視察批判は、やはり的外れだ
先日、麻生太郎財務大臣が自衛隊の休日に、潜水艦に試乗したことが、野党に批判されている。
この批判は私でもちょっと理解できない。麻生さんは財務大臣の職責にあり、自衛隊の予算査定をする最高責任者だ。
潜水艦に試乗したことで初めて分かったこともあるに違いない。
また潜水艦は常に緊張を強いる勤務状態だ。当然、乗務員にとって視察は休日の方が良かったに違いない。
そして恐らく試乗はごくわずかな時間であっても、彼らの過酷な環境、勤務に驚いたことだろう。
てつのくじら館で体験した潜水艦のきょうわいさ
実は先日、広島県呉市の大和ミュージアムを訪れた際、併設する海上自衛隊呉史料館『てつのくじら館』へも入った。

本物の潜水艦が置かれている(写真)以前、訓練に使われていた潜水艦・あきしおが引退後、屋外に展示され、内部を見学できる。
もちろん入艦したが、その艦内の狭さ、息苦しさ、圧迫感は想像以上で驚いた。乗組員のベッドは幅わずか60センチほど。上のベッドが直ぐ真上にあり上半身も全く起こせない。
調理室も家庭のキッチン並だ。1番広い艦長室(写真)でこの程度の広さだった。

そして壁は計器類がぎっしり。外界を覗くのは潜望鏡だけだ。実戦部隊の場合、深く潜航していても海上上空に他国の対潜哨戒機などが飛んでいたら、自分なら恐らく生きた心地もしないだろうと考えた。


乗っているだけで恐怖感じる
乗っているだけで恐ろしいのは潜水艦より右に出る艦艇はないだろう。友人のことばが良く理解できた。
海上自衛隊は現在、潜水艦19隻を要する。そうりゅう型とおやしお型があり、日本の誇るそうりゅう型潜水艦は世界最強とも言われ、最新技術の塊とか。
ちなみに私は麻生さんをかばった訳じゃなく、潜水艦勤務の過酷さを伝えたかったのです。
もりもと なおき