最高の懲役20年を求刑すべきではなかったのだろうか⁈
法律のプロと私たちとはかなり認識に乖離があるかもしれないと、改めて痛感した。
東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛ちゃん=(当時5才)に日常的に執拗な暴行虐待を加え死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の船戸雄大被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が東京地裁で開かれ、検察側は『いじめ抜いて死亡させた』と、懲役18年を言い渡した。
船戸被告が問われた保護責任者遺棄致死罪の刑期は、懲役3年から最高20年まで。これまでの被告人質問やこの日の厳しい論告から、私は最高の20年が言い渡されるとみたが、1割減だった。
判決はさらに短くなる⁈
判決で裁判長が7がけ、8がけなどしたら、懲役13〜14年となる可能性もあるが、もしそうなればあまりに軽い罪と言わざるを得ない。
これに対し弁護側は「命の危険を感じたのは死亡する前日だった。バナナなどを取らせようとするなど、完全に放置したわけではない。冷静な判断を」と述べ、懲役9年が相当だと主張した。
注目の判決は10月15日。
検察も怒りを込め『ことば失うほど、犯行は悪質』と
このほか論告で検察側は「結愛ちゃんの体には170カ所以上傷があった。食事制限で1カ月以上飢えの苦しみを与え、いじめ抜いて死亡させた」と指摘。
そして「言葉を失うほど犯行は悪質」と述べた。
親が子を虐待し死なせた事件はたくさん見たが、その中でもこれ以上の残酷で悪質な事件はなかったと思う。
判決は他の虐待事件にも少なからず影響を与える。せめて求刑通りにはしてもらいたい。
もりもと なおき