再犯率高い性犯罪。任意の再犯防止制度が果たして有効か
再犯率のひじょうに高い強姦など性犯罪で服役した元受刑者らに対し法務省は、満期出所したあと、国費で薬物治療や認知行動療法を受けさせる制度を来年度から導入するとか。
これまでも刑務所内で再犯防止指導をしていたというが、果たして効果はあったのか?さらに満期出所後は彼らに対し何も手当はなかった。
しかし、せっかくの制度だが、受け入れるか否かは本人の意思次第。いわば任意で、果たしてどれだけの性犯罪の元受刑者が受けるか、はなはだ疑問を感じるのだが…
対象となるのは強制わいせつ、強制性交(強姦)などの性犯罪のほか、覚せい剤取締法違反、窃盗などひじょうに再犯率の高い元受刑者。
強姦の再犯率27.7%
平成27版犯罪白書によれば、過去20年間に刑務所に収容された性犯罪者では、強姦は27.7%、強制わいせつは7.3%が再犯で収容されていた。
これらは刑務所内で認知行動療法に基づく再犯防止指導を受けているが、この高い再犯率をみると、効果はあったのか甚だ疑問だ。出所後は性欲抑制の治療を受けたくても、保険適用外。自己負担となればまず治療する元受刑者はいなかっただろう。
自ら進んで受ける元受刑者はいるのか?
しかしこの制度も適用を受けるか否か本人の意思確認が必要という。これまでの刑務所内の"再犯防止指導"が効を奏していないから、高い再犯率となっている訳だ。強制的に受けることを義務づけなければ何ら変わらないのではないか。私は自ら進んで受ける性犯罪の元受刑者は極めて少ないような気がする。
この制度は、さる5月、新潟市で小2女児が殺害された事件の容疑者が、性犯罪歴があったことを受け、自民党の関連委員会が政府に求めていた。
法務省に対しては、任意の部分の改善をするよう委員会から強く求めていただきたいと思います。
認知行動療法 ものの受け取り方や考え方といった認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種。考え方の偏りや自己統制力の不足など、自分の問題性を認識させて改善を図る。鬱(うつ)病や摂食障害、統合失調症など多くの精神疾患に効果があることが実証されている。
もりもと なおき