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やはり新聞協会賞をとる"仕事"は素晴らしいし社会を動かす。朝毎が受賞

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新聞協会賞、毎日、朝日に


ことしの新聞協会賞キャンペーン部門は、毎日新聞のキャンペーン報道「旧優生保護法を問う」だった。

受賞して当然の企画。基本的人権の尊重をうたった日本国憲法の下、この法律を元に国家が半世紀近くも障害のある人たちに強制的に不妊手術を施した"究極の人権侵害"だ。ここにメスを入れ、光を当てたのが、毎日新聞記者たちだった。

協会賞には編集部門、営業部門、技術部門があるが、編集部門では朝日新聞社の"財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ"が選ばれた。しかし他社を巻き込んだ取材合戦に発展したが、大阪地検特捜部が関係者全てを不起訴にするという、なんとも釈然としない結果に終わったのは、極めて残念だった。

地方紙も頑張れば受賞できるが…


新聞協会賞は新聞協会に加盟している日刊新聞の記者ならみんな憧れる。これまでは朝日、毎日、共同通信、NHKが多く受賞してきた。

地方紙が扱うニュースでも、地域に根ざした問題が全国的な課題に発展するケースもあり、長期に渡る骨太い企画もので受賞している社もたくさんある。

北海道新聞や西日本新聞、長野の信濃毎日新聞などは印象的だ。

私のいた徳島新聞などは編集、キャンペーンで受賞したことが一度もない数少ない地方紙だった。全国一の地元購読率を支えてくれる県民読者のためにも、何故本気で協会賞を狙うようなキャンペーン企画を立てないのかと、いつも残念に思っていた。

まあ、自分にも責任はあるが要は編集幹部のやる気があるか否か。今の編集幹部は極めて優秀な人材が揃っているので、ぜひとも本気で狙って欲しい。

旧優生保護法を盾に実行された人権侵害


さて毎日新聞の受賞記事にもどるが、

そもそものきっかけは仙台支局発。15歳で優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとする宮城県内の60代女性が、憲法判断を問う裁判を起こすという内容の記事から。

あからさまに差別的な法律名と生殖能力を封じるおぞましい内容に東京本社では「戦後日本の話なのか」といぶかしんだ。

この旧法に基づき手術されたのは「同意」したとされる人も含め、なんと全国で約2万5000人に上った。

そしてこれほど酷い被害にもかかわらず、過去に国を訴える裁判が見当たらなかった。

そして同時に、半世紀近く続いた法律が認めていたものを、憲法違反に問えるのか。さらにこの法律は20年以上も前になくなり女性の手術も約40年前。果たして損害賠償を請求できるのか。そんな現実の議論となった。

この毎日新聞の特ダネから始まったキャンペーンは全国のメディアを動かし、社会を動かしまだまだ追及は続いている。

しかし旧優生保護法…昔の産婦人科医院には必ずこの法律に基づく指定医である旨の看板がかかっていたことを、思い出した。

もりもと なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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