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一味違った全共闘出身の記者たちに教えられたこと

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『元全共闘活動家出身の他社の先輩記者にも鍛えられた1年生記者の頃』

新聞記者稼業は地方紙も全国紙も、地方の県警本部担当、いわゆるサツ回りから始まる。これは例えば朝日や毎日の、科学部や外信部志望のインテリも同じだ。

やはり事件を取材するのは記者のイロハ。気難しい刑事や検察官からネタを取るコツ、記事の書き方、広くは泣いたり笑ったり、人生の機微だって様々な体験を通し、学ぶのだ。

私もラッキーなことに1年生から徳島県警の記者クラブに放り込まれ、ターさんや平野の淳ちゃんという有名な2人の大御所に仕事はもちろん酒、バクチ、女…社会部記者としてのスキル?を徹底して叩き込まれた。

私は楽しく先輩の教えを吸収していったが、他社の先輩にも実は多大な影響を受けた。
記者クラブには全国紙やNHKに入ってまだ数年の記者がいたが、ほぼ全共闘世代。当然、元活動家もいた。

その1人、毎日新聞のKさんは阪大出身の活動家。ある日、私が皆んなにアイスを買ってきて、Kさんにも渡したが何故か返された。
そして『森本君、ありがとう。でも僕は森永の製品は絶対、食べないと決めてるんだ』と。

訳を聞けばKさんは『森永ヒ素ミルク中毒事件』という、森永の徳島工場で製造した粉ミルクにヒ素が混入し、大きな被害が出た悲惨な事件の裁判を取材していた。

以来、自身の森永への怒り、不信感から、全ての製品の購入をやめているとの話しだった。
Kさんの弱者に目を向けた取材はとにかく徹底していた。社会部記者は弱者のために闘うのが大切な使命のひとつであることを教えてくれた。

もうひとり、一橋大学で活動家だった同じく毎日新聞のF記者も魅力ある先輩だった。
取材姿勢も活動家丸出し。労働争議に機動隊が出動するだけで異常に興奮するのがおかしかった。

でも学生時代は当然、警察は"敵"だったはずだが、刑事らとの付き合いは抜群。敵の仕事も尊重するのが立派な社会人だと、したり顔で言っていた。
その後、ワシントン特派員になり、会社を辞め、アメリカで一旗あげたようだ。

朝日新聞の先輩記者は東大卒ばかりだった。意味不明のエリート意識丸出し。『君らとは違うんだよ』と顔に描いてあったから、特に付き合いはないし、学ぶこともなかった。

ただ同期で朝日くささが微塵もないソープランドが好きなM君だけは別。ともに切磋琢磨した(全く負けなかったが…笑)

もりもとなおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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