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全共闘とグループサウンズは、団塊の世代のエネルギーの象徴だった

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ヘルメットとエレキが青春だった世代

"全共闘"と"グループサウンズ"は団塊世代のエネルギーの象徴だった。ヘルメットとゲバ棒で、国家権力の象徴たる機動隊と壮絶な闘いを繰り広げ、かたやジュリーやショーケンに熱狂した。

極端に人口の多い世代。猛烈に激しい競争の中で埋没しないよう、ヘルメットとエレキは自らを自己表現するひとつの方法だったのかもしれない。

そして日本の成長を数十年間、支えた世代も早、古希を迎えている。それでも人口ピラミッドはやはり飛び抜け、今度は医療、介護に暗い影を落とす存在になってきた。団塊とはなんだったんだろうか。

 

当時の思いを語る元活動家ら

わが家に『全共闘白書』という本がある。1995年刊。'60年代後半から'70年代はじめの頃、学生生活を送り、学園紛争や安保闘争に関わった人たちが、その後の四半世紀をどのように過ごしたか、どう生きたか、あの運動をどのように総括しているか、今仕事は何をしているかを、元活動家からアンケート調査している。

 

95年の発刊だから、当時の元活動家たちが40代半ばから47〜8才の時のいわば近況報告みたいなもの。

日大全共闘議長の秋田明大さんはじめ有名な活動家の近況も多く、昭和史に色濃く軌跡を残した学生運動と活動家のその後という意味でも興味深く、歴史的に意義のある記録だ。

 

全共闘とは何だったのか

まず全共闘とは何かだが、全学共闘会議の略称。1968年から1970年にかけて全国的の大学で、学生がバリケードストライキを含む実力闘争を行った際、規制の三派全学連などが学部やセクトを超えた運動として組織した大学内の連合体。

上は日大全共闘、下は東大全共闘

 

この本のアンケートでは、
自身の大学のこと、多くが参加した羽田、佐世保、三里塚の歴史的な闘争など。激しい闘いとなったこれら学生運動の記念誌的闘いを総括させている。
そして事実上、一般学生を巻き込む運動を完全に終焉させたといわれる『連合赤軍の浅間山荘事件』とは何だったのかを問いかけている。

今をいかに生きているのか

また今の彼らの憲法感、日の丸について、外国人労働者、好きな政治家・嫌いな政治家、そして現在の日本をどう捉えているのか…など。
さらに個々の結婚や離婚、育児や教育、女性と家庭、今の年収…この時代に何を考えいかに生きているか。

77の大学などから256人が回答。真摯な自分史と歴史的証言が詰まっており、彼らの熱い時代を垣間見ることができる。

◼️やはり中退が圧倒的

興味深いのはやはり大学中退者が多い。運動の終結で、キャンパスへ戻ることを自ら拒否したのだろう。当時の大学教育を否定していたのだから、当然なのかもしれない。

職業は地方公務員、塾の講師、塾経営者、中小企業のサラリーマン。流石に都市銀行や三井、三菱、住友系は皆無だった。地方公務員が多いのは仮に逮捕暦があっても、身元調査はなかったからかもしれない。
医学部の人は何とか卒業し、医師になっているが、地域医療の先駆者として頑張っている人が多いのは、流石だ。元東大全共闘で大蔵省に入りさらに自民党の代議士になった人を知っているが、やはり超例外なのかもしれない。

歌手加藤登紀子さんの夫で学生運動界のスターだった元反帝全学連委員長の故藤本敏夫さんのように、有機農業などに取り組む人もいた。

◼️興味ある政治家は小沢一郎

政治に対してはやはり思いも深く、好きな政治家、興味のある政治家に小沢一郎氏をあげる人が多かった。
あの頃の小沢さんは自民党を離党し、新生党を結成。非自民連立政権をつくり、さらに新進党へと進む頃。豪腕ぶりに賛否があったが、活動家たちが興味を示すのは痛いほど、理解できた。
あと、面白いのは、嫌いな政党に日本共産党をあげる人も。
やはり反日共系の活動家として、学内では共産党の学生組織、民青と闘った嫌な記憶がらあるのだろう。

年収なども記載されていたが、首都圏に住んでいても皆んなかなり低いなと感じた。だから子どもたちの教育も大変だと。

今も誇りに思っている

それぞれが参加した闘争を総括していたが、当時の活動については、大半が

『今も誇りに思っている』と。

これには感動したし、やはり団塊世代、全共闘世代のこの熱い時代が、その後の日本の社会を下支えしてきたことを、痛感している。

もりもと なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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