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共同通信と加盟社の関係を理解しない暴力団に、代紋で説明した先輩記者

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『共同通信と加盟地方紙の関係を"代紋"に置き換えて暴力団員に説明した平野先輩』

新聞なんてのは毎日、毎日、政治や社会、行政、企業や有名人の批評や批判を無数に続けている。だから当然、内容に不満があったり認識が大きく違う場合や誤報の時、相手から厳しく抗議、糾弾されることはある。

そしてこのクレームへの対応がひじょうに大切だ。迅速さを欠いたり説明責任を果たさなかったり、礼を失した場合。あるいは因縁まがいの理不尽な抗議に屈した時など、思いのほかトラブルを長引かせ、その後の記者の取材活動や編集方針に暗い影を落とすことがある。
だから新聞社への苦情処理は危機管理的に極めて重要なのだ。

記事への激しい抗議はよくあったが、こんな時、事件担当平野淳輔先輩(故人)の対応は目からウロコだった。

右が平野先輩


20代の頃、ある古い事件に絡む記事で暴力団組員が5〜6人が会社に押し掛けてきた時だ。会議室に入ってもらい平野さんと私が抗議を聞いたが、彼らの言うことにも一理あり、抗議されても仕方がないとは思った。

そしてややこしかったのは当該記事は実は共同通信社の配信記事。さらに執筆した記者は当時、朝日の本多勝一さんと並ぶスター記者、共同編集委員Sさんによるもの。共同通信本社も自信を持って送ってきたはずだった。

で、暴力団員にはこの記事は私らが書いたんじゃなく共同通信の東京の記者が執筆したものと説明したが、『誰が書こうが徳島新聞に載ってるやないか』と(違いない!)。

私が共同通信と徳島新聞の関係を説明し、『共同からの記事は100%信頼し掲載するシステム。だから書いてない私らに抗議されても…』と言っても、共同と徳島新聞の関係性を全く理解してくれない(当然だ)

そこで平野先輩が『まあ、皆さんの世界なら共同通信が一次団体、全国にあるうちみたいな地方新聞は二次、三次団体。新聞の代紋は徳島新聞でも、実際は共同通信というデカい代紋の下、商売しとるんですわ。そこんとこ分かってください』と。

『せやからこの記事は共同通信の代紋の責任で書かれています。わしら二次団体は説明できんのですわ』と、説明したら共同〜徳島新聞の関係が理解した様子だった。

『まあ、こらえたるわ』と引き上げてくれた。
平野先輩にはその後、私自身の記事のトラブルで何度も助けられたし、編集を巡る危機管理を学んだ。今の古巣徳島新聞は危機にきちんと対応できているのだろうか?
もっとも取材相手とトラブルような厳しい記事はほとんど見かけ無いから、その心配は稀有か…それも辛いな。
(平野先輩と)

もりもとなおき

  • この記事を書いた人

morimoto_ naoki72

森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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