いつもの見慣れた風景で特に違和感も感じなかったが、公園など行政が管理する座り難いベンチには、実は一部の人たちを排除する目的があると知った。とても不快な気持ちだ。
女性は横になれないベンチで毎日、夜明けを待った
先日、東京都渋谷区幡ヶ谷のバス停で、路上生活者していたとみられる女性(64)が、近くに住む男(46)に殴り殺されるという痛ましい事件があった。
女性は深夜から明け方まで人目につかないよう、だれにも迷惑をかけないようひっそりとベンチで仮眠を取っていただけだ。
それなのにこの男が殴った動機は『目障り』などという許し難い身勝手なものだった。
ニュースで犯行現場を見たが、女性が座っていたベンチは座る部分の幅がわずか20cm余り。さらに真ん中に手すりとも仕切りとも言えないものが取り付けられ、ベンチで横になれないような作りだった。
さぞ女性はからだを休め難かったと思う。
なぜ公共のベンチは幅が狭く、仕切りがあるのか
ところでネットの書き込みで知ったが、公共のベンチはひじょうに座り難いのが普通だという。座る部分の幅の狭さはもちろん、前に傾斜がかかりズリ落ちそうなものも多いとか。
さらに真ん中部分には必ず仕切りがあり、ベンチで横にはなれない。後から仕切りだけ取り付けたベンチも多いようだ。
恥ずかしい話し、その理由について全くピンとこなかったが、どうやらベンチにくつろいで座る邪魔をするためらしいのだ。
行政が公園や街のベンチでホームレスの人たちが横になったり、仮眠をとることをさせないための対応と聞き、心から驚いた。
そしてこの理由を知らなかったことに対して自分を恥じたものだ。
ちなみに昔のべんちは下の写真のようなものが普通だったのだ。
座り難いベンチは弱者を疎外する政治や行政の象徴
恐らくこれがベンチで座り難かったり仕切りがある本当の理由だろう。
そしてそれを行政に問い合わせれば、恐らく別の建て前的な説明をするかもしれない。
しかしどんな説明があっても、こうしたくつろげないベンチが一部の人たちを拒絶しているのは間違いない。
ホームレスを排除するより、無くすことが政治や行政の役目じゃないのか。
こうした排除の考え方が行政に有る限り、弱者を疎外する社会の風潮はなくならないだろう。
たかがベンチ、されどベンチ。自分の無知を恥じた。
もりもとなおき