産卵ゼロは半世紀で初めて。上陸もわずか1匹
これはかなりショッキングなニュースだった。徳島県美波町の大浜海岸はアカウミガメの産卵地として全国的に有名だが、今季の産卵はゼロ。記録が残る半世紀前1967年以降、初めてだった。上陸したのも6月に僅か1回。カメたちにいったい何があったのか…
例年は5月下旬から6億上旬に初産卵があり、徐々にピークを迎えていた。しかし今年は6月14日に上陸があったものの、産卵せず海に帰った。
記録を取り出してから多かったのは1990年で、161回。しかし以降は年々徐々に減少し、2006年と2016年のわずか2回だった。9月上陸の例はなく、ことしはほぼ絶望的だ。
全国初の天然記念物指定
大浜海岸は1967年、アカウミガメの産卵地として全国で初めて国の天然記念物に指定された。上陸数は1968年の308匹が最高。以降、減り続け、1996年からは100匹を超えることはなく、二桁が続いていた。
専門家は産卵がなかった原因として砂の流出で海岸が細くなったことに加え、産卵に悪影響を与える光を減らす対策が不十分としているが、ほかに生態系的な影響はないんだろうか。
大浜海岸は5月20日から8月21日まで砂浜への立ち入りと、堤防沿いの道路の車両通行を禁止している。
5年かけて米国へ、さらに17年過ごして帰ってくる
とにかく卵からかえった小さな子亀たちが、一斉に波打ち際を目指す光景はかわいく、それでいて自然界の厳しさを教えてくれた。
アカウミガメはこうして海に入り、5年もかけてアメリカ西海岸などに到達。17年間、そこで暮らし日本へ帰ってくるというが、詳しい生態は分からない部分が大半。産卵に上陸するのは生後40年経っているカメとか。生まれた海と磁場が似通った海に産卵に訪れるという。
もりもと なおき