未分類

憧れの沢木耕太郎の生き方のカッコ良さは歳をとっても変わらなかった

投稿日:

NHKの『クローズアップ現代』で、若い時から憧れていた作家沢木耕太郎さんのインタビューを(聞き手桑子真帆)やっていた。
テレビに出たのにも驚いた。作家と紹介されるが沢木耕太郎こそジャーナリストだとずっと思っている。

自分より5才歳上だけど、私が新聞記者になった頃はすでにメジャーデビューし、ノンフィクションライターとして活躍していた。

いつも黒のハイネックのセーターにスリムのジーンズ姿は颯爽として、とにかくカッコ良かったのだ。


団塊のトップランナーも早、後期高齢者だが、ストイックな人生だったんだろう。体型はもちろんライフスタイルも昔と全然、変わらなかった。

沢木さんは横浜国立大学を卒業し都市銀行に就職したが、初出社の日に退社しこの道に入ったという。
卒業直後、いきなり『若き実力者たち』『敗れざる者たち』で鮮烈、デビュー。

才能があったのだ。右翼少年山口二矢が社会党の浅沼稲次郎委員長を刺殺した事件を詳細にルポした『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞を取り、世に出た。

徹底した調査報道といえる取材は綿密。時間をかけ、対象者の真相心理、心に迫るから迫力があるのだ。
『一瞬の夏』『深夜特急』など次々に渾身のベストセラーを世にだしたが、とにかく納得いくまで取材をするから、一つの作品に膨大な時間をさく。

最近上梓した人生の集大成ともいえる『天路の旅人』は取材スタートからなんと25年を要した。

インタビューで印象に残ったのは自身の父親のこと。
『単調な仕事でも毎日黙々と働き、毎晩、晩酌をやり、権力やカネにはカケラも興味を示さない人生だった。これこそ"無頼"の男だと思った』と。

桑子さんが、父親くらいの年齢の沢木さんとの対談を終え、ニコニコしながら『沢木さんのキラキラした目が印象的でした。心が豊かになりました』みたいな感想を述べた。

大きな賞をたくさんいただいてもベストセラーを連発しても、1ミリもブレない沢木耕太郎の人生だったんだろうな。

毎日、小手先の仕事で記事を書いてきた自分の記者人生は何て薄っぺらく、底が浅いんだろうと、嫌になる。

もりもとなおき

  • この記事を書いた人

morimoto_ naoki72

森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

-未分類

Copyright© 森本尚樹の"社会面の作り方" , 2024 All Rights Reserved.