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父親が毎月20冊の本を送っている、根尾昂君にみる読書の大切さ

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的確に本を選んでくれた店員さんのいた時代

社会人になってから上京した時、学生時代に毎日、立ち寄って立ち読みをしていた高田馬場駅前の芳林堂書店という有名書店で『文章読本』のタイトルの本を探したことがあった。戦前戦後、いろんな文豪のこのタイトルの著作があるから、どれにしようか迷っていた。

 

するとその時、理知的な美人の若い女店員さんが、『私も谷崎と三島、最近出版された丸谷才一のものを読みましたが、丸谷才一が私には合いました。いかがでしょうか』と。
男の店員さんなら『ほっといてくれ』というところだが、『ありがとう。そうします』と、丸谷才一の『文章読本』にした。
昔の有名書店は、こうした元文学少女が普通に働く文学的なスペースでもあった。

街の本屋さんどころか、大手も縮小、倒産する時代

このところ、街の本屋さんをほとんど見かけなくなった。それどころか紀伊国屋書店さえも店舗が減っているし、紹介した芳林堂書店さえ、倒産したというから驚く。
池袋、馬場など首都圏10店舗、業界大手だったが、さすがにこのニュースを聞いた時は出版不況の深刻さを実感した。今は別法人が引き続き同じ芳林堂書店で経営している。
近くの早稲田の学生だけで4万人。普通これだけの消費者を身近に抱えたら、倒産はないと思うんだが…
芳林堂の倒産で、大学生の読者離れも改めて痛感した。確かに大学生の1日の読書時間は平均24分弱、ゼロは53.1%も。1カ月の書籍費は自宅生がたった1340円、下宿生が1510円では倒産せざるを得ないのかも。
電子書籍はまだ紙を圧迫する存在ではないから、やはり活字離れは加速している。

 

本を読む大切さは、大阪桐蔭根尾昂君でも実感

この話には感動した。甲子園で活躍し、中日ドラゴンズにドラフト1位指名された大阪桐蔭、根尾昂君の文武両道ぶりが話題になったが、彼は毎月、野球をしながら20冊もの本を読んでいたというエピソードに驚いた。
書店に行く時間もないので、お父さんが選択した本を毎月20冊、宿舎へ送っているという。
最近の愛読書は『思考の整理学』というから、彼の読書レベルの高さが分かるというものだ。東大、京大の書店でベストセラーになったものだ。若い時の読書の大切さを、野球選手としてはもちろん、周囲から人間性も賞賛される根尾昂君を見て、実感した。

 

もりもと なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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