旧姓を使い続けるのは極めて困難という現実
結婚しても旧姓のままで仕事をしている女性をたくさん知っている。こちらも違和感なく独身の時の名前を呼んでいる。
全然、問題ないと思っていたが、そうでもないらしい。結婚して男性側に入籍したら、もちろん戸籍上は姓が変わっている。
だから旧姓はあくまで通称で、公的書類は旧姓では通用しないから、極めて面倒くさいことが多々あるらしい。
だから結婚時、職場では『私は別姓でいく』と張り切っていても、いつの間にか新しい姓に変わっている時がある。
国会に委ねた東京地裁の不思議な判断
先日、夫婦別姓を求めた裁判の判決があり、東京地裁は、『夫婦は同じ姓を名乗るとさだめる戸籍法は個人の尊重や法の下の平等をうたう憲法に反する』との原告の訴えを全て退けた。
判決は「民法と戸籍法は密接不可分」と述べたうえで、夫婦同姓を強制する民法を合憲とした15年の最高裁判決を踏襲。
姓を変えることで不利益が生じるとしても、どう対処するかは裁判所でなく、国会が判断すべきことだと結論づけた。
国会が判断すべきとは!原告は裁判官の判断を仰いでいるんじゃないのか。
あと理解不能なのは「個人が社会において使う法律上の姓は一つであることが予定されている」と。
だから民法上の姓と戸籍の姓は同じでなければならないと繰り返した。
国会は議論をいつまで棚上げするのか
国会の判断云々だが、今の政権ではこの問題を取り扱う気配もない。野党が提出している『選択的夫婦別姓制度を導入する法案』は、議論さえ為されていない。
野田聖子前総務大臣は選択的夫婦別姓導入を主張している
かなり以前、夫婦別姓が議論された時期があった。この時は、自民党議員でも子どもが女の子だけの議員は別姓に賛成する人も多く、話題になったものだ。
内閣府の世論調査では、2012年は選択的夫婦別姓への賛否はほぼ互角だったが、2017年には賛成が42・5%、反対29・3%と、数年で一気に賛成が増えた。
こんな背景から政府は旧姓使用の拡大を図っているが、先に述べたように公的な部分での理解がなければ解決にはならない。
別姓のみを法律化するわけではない。あくまで選択できるようにと、言うことだ。
夫婦の姓が異なっても日本の家族制度は崩壊などしないと思う。
もりもと なおき