2位じゃダメだったスーパーコンピューターの世界
日本の最先端技術の象徴みたいなスーパーコンピューターだった。もちろん開発途中で世界一。
民主党政権下、事業仕分けで開発費を削ろうとした蓮舫さんが『2位じゃダメなんですか?』と、技術者らに問いただしたのは余りにも有名になった。
もちろんこのスパコンの世界、2位じゃダメなんです。超高額なカネを出して2位のものは買わない、使わない。トップのものをどの国も企業も求めるのが常だ。
そんな意味で蓮舫さんの言い草はずいぶんと顰蹙を買ったし、あの事業仕分けの先行きさえ暗くしてしまった。
世界一のスパコン京も、2位どころか今や20位に陥落
その理科学研究所(神戸市)が開発した日本が誇るスパコン『京(けい)』がまもなく役目を終え、システムを停止する。
開発は2006年に始まり、1秒間に1京(1兆の1万倍)回の計算をこなすことにちなみ命名された。

京という単位は子どもの頃から知ってはいたが、それが1兆の1万倍と言われると想像もつかない。
2位じゃダメなのかと、予算を一部削られもしたが、約1111億円が投じられて2012年9月に本格稼働した。
実力のほどは、まだ研究開発段階だった2011年、スパコンの計算速度を競うランキングで世界1位を獲得したのもみても、お分かりだと思う。
凄まじい計算能力で、巨大地震や台風、あるいは心臓病研究などに多大な貢献を。2000本の日本発の学術論文執筆に寄与した。
それがわずかの間に凋落。世界ランク20位というからこの最先端技術の競い合いはすざまじいものがある。
世界の技術競争の中、富岳はトップを奪還できるのか
技術立国日本も今や死語かもしれないが、理化学研究所などで開発中の次の富岳に期待したい。
これは京の100倍の能力を有し、世界1位を奪還できる可能性もある。
しかし2020年代のスパコンは京の100倍以上の速度の「エクサ級」が主流になると予測され、楽観はできないという。
順調にいけば世界一を奪還するかもしれないが、こうしている間にも、富岳を超える技術開発は他国で間違いなく進んでいる。
あらゆる分野の研究開発のためには、やっぱり2位じゃダメなんだ。
もりもと なおき